氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

男性育休、さてどうなるかな

男性社員の、育休(東京都は育業)スタート。

最長で子供が2歳になるまで、育児休業を取得することが可能。

鳴り物入りで始まったこの新制度、私はいろんな意味でほこほこ、ニヤニヤと様子を伺っている。

勿論、男性も育児が出来る環境が整ってきたのは好ましい。

産後、奥さんが体調が戻らず、そのつらいままで一人で育児をしたり、それが第二子や第三子だった時に、どちらかが上の子供を見て、どちらかが乳児を見て、というのが可能になるというのは、非常に助かると思う。

(何しろ、出産直後の女性の体へのダメージは、交通事故に遭ったようなダメージと同じくらい、と言われているものね)

だから、そこはほこほこ、ほんわりと時代は変わっていくんだなぁと感じている。



私の両親の世代は、夫側の転勤当たり前、妻側のワンオペ当たり前、子供がある程度大きくなったら(我が家もだが、友達の両親などでも大体下の子が小学校卒業あたりが目安だったのかな)パートに出て・・・というのがお決まりコースだったのだと思う。

私もそうだが、高校、大学と進んでいき、地域等に関係なく友人が出来てきた時にそんな話をしていると、「転勤先で生まれたから、出生地に親類がいるわけでもないし、何か縁があるわけではない」という人が多かった。

だから、ある意味私もこういう状態を「当たり前」だと思っていたのだ。

 

しかし、外資で仕事をし始めてから、これが案外、説明しにくい状態という事が分かったのだ。

「転勤」自体が軍隊や外交官、または自分で望んでの転勤でもなければないとか、そういう文化的な違いで理解してもらえなかったのだ。最近ではそういった「リアルな日本文化」もだいぶ広まって、分かってくれる人が増えたのは助かる。



そんな両親の子育て、また自分の友人など、周りの子育てを見ていて、本当に大変そうだったし、精神的にきつそうだったし、その最中に浮気されて恨んでいても乳児がいるから今は無理・・・とか、夫婦仲はいいのだけれど嫁姑戦争も同時進行とか、極まれに何とかうまく行っている、という夫婦がいたり。

何とかうまく行っている、でも、やっぱり子育てが一段落した頃にドカドカっと入院した友人も多いので、子育ての陰で何かしらの病気が進行し、一段落してホッと気が抜けた瞬間にそれが表面化する、ということだったのだろうな、と思ったものだ。

(眠れないよぉ~と、病院の消灯時間の後、メッセージやメールがこっそり来て、他愛ないメールのやり取りをしたり、愚痴を言い合ったりしたことも多い。病院の消灯時間は早いけれど、私は大体12時~1時に寝床に入る感じだから、シングル・アゲインの私に出来ることはこうしたコッソリのやり取りに付き合ってあげられる。というか、それくらいしか力になれないから、私の寝る時間まではよく付き合っていたもんだ。ご家族と住んでいる友達は、それはそれで忙しいし、朝がすごく早かったりするから、学生のようにかなり夜型の私はちょうどいい話し相手だったのだと思う。)



男性(夫側)が育休を取ることで、妻側の「今はキツイ」という時期をカバーできるというのは、本当に助かると思う。

手替わりがいない」という精神的なプレッシャーだけでもキツイとみんな言っていたから、「今、きついから育休取って!」と頼めるという選択肢があることだけでも少し気持ちが楽になると思う。

 

ちなみに、私自身は子供を持つチャンスがなかったので、親世代、自分世代の「出産」「育児」に関しては、自分の目で見てきたものになる。

自分の両親や、友達の両親、また、自分の日本の友達、海外の友達と会ったり話したり、SNSで見たり、というのが私にとっては一番「リアル」な育児だ。

ただ、自分で子育てしたわけではないので、やはり本当には分かりきってはいないと思う。



しかし、話が「育休」「育業」となると、実は子供がいない私自身も直接的に関係があったことがある。

それが、会社内での「育休中の人の代わり」という役回りだ。

ほこほこと、「大変だろうけど、頑張ってね。その子が赤ちゃんである時期は限られてるから、大事に過ごしてね」とおおらかに見守るだけではなく、「ニヤニヤと」してしまうのがその部分だ。



今まで、私は何度も同僚の産休、育休で同僚の仕事の代理、もしくはサポートをしたことがある。

丸々一人分の仕事を一人で引き継いだこともあったが(あれはつらかった・・)、2人とか3人とかでその人の仕事を分割し、それぞれ自分に近い業務を引き継ぐ、という形にすることの方もあった。

 

ただ!である。

何故だか、「産休・育休のピンチヒッター」は「女性限定」だったんだよ!

これが私が所属していた会社だけなのか、どうかは分からない。でも、仕事をしている友達に聞いても、あまり男性がピンチヒッターに入っている、というのは聞いたことがなかった。

その、産休・育休に入る人が正社員だろうが、契約社員だろうが関係なし。

女性だけが出来る仕事なのだったら仕方がない部分もあるだろうが、別に経理・財務・総務・庶務・人事などは男女関係ない。しかし、産休・育休のピンチヒッターは「女性」だったのだ。

なので、どこでも同じ部署の「女性」が引き継いで、戻ってきた時に「おかえり~~~待ってたよ~~~~(涙声)」という状態になるのがいつものことだった。

同僚が悪いわけでも何でもない。責める気もない。

しかし、ピンチヒッターしているのが「楽」ではないことも事実だったのだ。

 

 

さて、そこでこの「男性の育休・育業」がスタートして、既に懸案となっているのが、

1.とるだけ育休 = 育休をとっても、ほぼ育児に参加はしない。(ひどい時は自分 

  の遊びに使う人もいるらしい。)

2.妻のストレスが増えるだけ = 育児スキル・家事スキルが足りないために、乳児 

  +大きな子供状態になるケース。

  しかしこれ、家事・育児を「このチャンスに学ぼう」とは思わないの・・・か

  な??

3.夫のキャリア・給与のダウン = 昇進に影響があるかどうかとか、育休中にスキ

  ルが落ちるとか。

4.夫の職場の人手不足、または育休自体を取りにくい空気がある = 文字通り

 

等など。

その陰に、夫の業務を引き継ぐピンチヒッターの存在もあるわけである。

それが果たして、同じくらいの職位の「男性」になるのか、職位に関係なく「女性でも可のものは、基本的に女性社員に」となるのか、「男性社員は忙しいんだから、ピンチヒッターは女性社員で!」となるのか。

今の日本の企業社会で、どういった選択が出て来るのかなぁ・・・・というのが、私が「ニヤニヤ」している理由なのだ。

 

今までは男性陣は、部内、社内で誰かが産休、育休に入る、という時に「当事者感」を持っていた人は少ないように思う。

それが、これからはモロに自分に降りかかってくるようになるのか、それとも意地でも振り払って「産むのは女だから、サポートも全て女!!」と開き直るか、そこまで厚顔無恥なことが出来るか、そんな天秤が男性陣に待っているのでついつい、私は「ニヤニヤ」してしまうのだ。

今まで、若い頃は「お互い様だろ~お前だっていつかは自分が産休とか取るだろうし」とか、「女性はきめ細かいサポートが出来るからね!」と持ち上げてるのか突き落としているのかサッパリ分からないようなことを言われ、同僚が悪いわけじゃない、ということはよく分かっているが、自分だけ残業になったり、お昼も食べられないくらいバタバタしたり、休日出勤になったりして、モヤモヤする部分があったのは正直なところだ。

しかも、ピンチヒッターしても別に給与が上がるわけでもないし。残業代が出れば御の字。

 

その悩みを上司に相談したこともあったのだが、「悪いねぇ」と言ってもらえればまだいい方で、「冷たい女だな」的な目で見られたこともある。

結果的に私は「お互い様」にはならず、助ける一方だったのだが、さて、これから男性陣はどうするのかな・・・?

やっぱり、ニヤニヤしてしまう私だ。



まぁ、そのニヤニヤもあるのだが、折角上記に「男性育休の懸案」を並べたので、私なりの解決策も書いておきたいと思う。

 

1.とるだけ育休 = 育休をとっても、ほぼ育児に参加はしない。(ひどい時は自分

  の遊びに使う人もいるらしい。)

  → 父親学級とかに出た人は持っているのかもしれないが、手元に育児書なども何

  もない場合があるので、妻側が「分からないなら読め!!」と突きつけるような、

  「育児Q&A」のようなリーフレットや本を準備。

  (マニュアル男は案外多い。)

 

   夫側が「男が出来ない育児は、母乳が出ないだけ」という事を認識しなければい

   けないので、一番難関である意識改革が必要なところだと思う。

   そして個人的に危険信号になるのが、親世代(特に舅・姑だな)が「男が育児す

   るなんて!!!」といらんことを言わないように、距離を置いておくことも必要

   かもしれない。(積極的に「あんたの子なんだから、やりな!」と言ってくれる

   なら距離はそのままでOK。

 

2.妻のストレスが増えるだけ = 育児スキル・家事スキルが足りないために、乳児

  +大きな子供状態になるケース。

  → こちらも難関の夫側の意識改革が必要だが、そういってもキョトーンとされる

  だけで余計にストレスがたまるのが想像できるので、新入社員だと思って教育して

  いくしかないかと思う。(それはそれでイライラしそうだが)

  また、家事が出来ることでデメリットはない(例えば妻子で旅行に行ったり、妻が

  入院したり、第二子の出産等で自宅を不在にすることがあっても、自分で家事が出

  来ればトラブルは減る。特に上の子は自分が面倒を見て、妻は第二子と共に入院

  中、等の時に「パパって何にもできないんだね」なんて言われずに済む。

  (友人夫の実体験)

 

  家事の場合は、台所を初め、家じゅう付箋だらけにしたツワモノが友人にいるが、

  案外役立ったと言っていた。

  何か冷凍食品で晩御飯をごまかそう! → 冷凍庫の外側にストックリストの付箋

  +電子レンジ加熱時間 → それに従って電子レンジでチン。

  とか、

  洗濯機に使いそうな設定を書いた付箋 → 子供がおねしょしたシーツ → 付箋

  から時間設定などを見つける → 洗濯

 

  のようにして、第二子出産を乗り切ったと言っていた。

  家事に関しては、ノートにまとめていても「絶対」見ないので、実物に貼るのが一

  番いいらしい。

  ちなみに、その友人は「退院してきた時に洗濯物が山になってたり、ゴミが散乱し

  てたりしたらそのまま上の子も連れて実家に行く」と宣言していたようだ。

  脅しも必要ってことね。



3.夫のキャリア・給与のダウン = 昇進に影響があるかどうかとか、育休中にスキ

  ルが落ちるとか。

  → 女性はずっとこの状態だったのだから、諦めろとしか言えない。

  もしやれることがあるとしたら、育児をするのが2名になることで少しでも自分の

  時間が持てるようなら、スキルアップために勉強をしておくこと。

  しっかりした資格を取るまで行かなくていいから、例えば文字を見る力を落とさな

  いために本を読む、たまにはPCを触って職場復帰した時にタイピングが遅くなって

  いる、なんてことがないようにするだけでいい。本を読むだけなら、トイレでも出

  来るんだから。(おそらく、5分とか10分刻みでの時間しかないだろうし)



4.夫の職場の人手不足、または育休自体を取りにくい空気がある = 文字通り

  → 同じような年齢の同僚を巻き込んで、ある程度の人数で申請したり、会社に交

  渉したりする必要があるかもしれない。

  ここで臆してしまったら、その会社の体質は変わらないので厚労省の出している資

  料等も準備した上で上層部にかけあうべき。

  それでも聞かないようなブラック企業であれば、転職も検討していいかと思われ

  る。これも、ずっと女性がやってきたこと。今度は男の番なのです



他の記事でも書いたと思うけれど、個人的に日本の独身男性、もしくは妻に先立たれた男性が非常に生きにくく、短命になってしまったりするという統計が出ている要因の一つに、生活スキルの存在があると思う。

ゴミの分別が分からないから、出さなくなる。

ゴミを出さないと、部屋が汚くなる。

汚い部屋では気持ちも沈む。

こういった悪い循環思考に入ってしまって、セルフネグレクト状態になってしまうのでは、と。

 

近所の人といきなり打ち解けるのは難しいにしろ、こうして折角「育休」という事で家事・育児に参加できるようになってきたのだから、今のうちに生活スキルを上げておくのは絶対に無駄にはならない。

 

おひとり様になろうとも、ある程度の生活スキルがあれば、ふと仲良くなった人を部屋に呼ぶことも出来る。(男女問わず)

仲良くなった人と、若い頃を思い出して、麻雀なり、ゲームなりしてみるのも一興だ。

 

もしくは妻に先立たれても、なーーーーーんにもできずに威張っているだけの夫だったら、子供たちで同居してくれる人はなかなかいないだろう。(特に子供が既婚の場合)

でも、その時に「今日は焼きそば作っておきました。チンして食ってくれ」なんて言える男だったら、全員から知らんぷりされる危険性は下がっていくだろう。

 

毎日会ったり、一緒に暮らすのは厳しいが、近所ならOK、になれば交流も出来る。

そうすれば、「暗く寂しく、恨みだけ持ってるおひとり様老害男性」にはならずに済む。

 

育休、育業を取得する男性陣には、この機会はあなたの未来まで変えますよ、という事をしっかりと認識してもらいたいなぁ、としみじみ思う今日この頃です。