氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

ふるさと防衛

ヒゲの隊長、として有名な佐藤正久さんが、防衛費増額について、なかなか興味深い事を言っていた。

それは、ふるさと納税みたいに、防衛納税があればどうだろうか」という提案だ。

 

私は、これはなるほど、と思った。



まず、前提として日本の税金は総額が見えにくい。(払っている側の感覚)

給与天引きで支払っている分は、気にする人でないと超ざっくりしか見ていないだろう。

「納税してる!」という意識があるのは、消費税と、それから個人で振込に行かなければいけない車関係の税金や固定資産税、相続した時の相続税贈与税、などだろう。あ、勿論たばこ税と酒税もか。ガソリン税もあったな。

諸外国と比べるとまだ安いじゃん、と思う人は、おそらく社会保険料を忘れている。

うっかり、「社会保険料」なんて名前がついているので見落としがちだが、「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」、「国民健康保険」、「労働保険」などである。

 

これらも、実際は税金なので、この社会保険料をプラスすると、日本で個人に係る税金は諸外国(G20とかのね)とさほど変わらない。

しかし、ここにもカラクリがあって、諸外国は賃金はアップしていっているのに、日本だけは賃金は変わっていない、という状態が続いているため、「重税感」を感じてしまうのはそこだ。

額面と手取りの差がどんどん開いていくわけだからね。



自分たちの給料は上がらないのに、消費税増額、年金納付5年延長、走行距離税の新設、元々言われていた二重課税問題(ガソリン税プラスされた単価に、加えて消費税を払う。タバコや、お酒も同じだ)・・・・と、「取られる方」だけはどんどんと増えていく、もしくは増えていく試算に入っている。

そりゃ、よほどお金持ちでなければ、「やってらんねーよ!!!」となるのは、至極当然だと思う。



個人的に、自分も含めて日本国民が、この「やってらんねーよ!!!」感を強く持ってしまう理由は、純粋な金額だけではないと思う。

 

1.まさに「血税」なのだが、自分が払った何がどれに使われているのかが見えない。

(ともすれば、自分が質素なご飯で我慢しているのに、政治家がウハウハするために使われていたり、ポンポンと諸外国に「援助」(ドヤァ)するために使われていたり、50億以上?もかけて新しくピカピカのおうちを作ったの?というような「雲の上の人の御殿」に使われていたりするんじゃないだろうな、と感じてしまう。)

 

2.「年金」を「自分の老後のため」に払っていた感覚なのに、払った分だけ受け取れないという不信感。誰のために払ってるんだよ、バブル期にブイブイ言わせて世の中を堪能してた連中のために払ってるのか?んで、氷河期から下の現時点、納税してる国民は実際年寄りになった時に、スズメの涙くらいしかもらえないって?と感じてしまう。

 

3.「年金」は「年金」に、「タバコ税」は「喫煙所の増設など、喫煙者と非喫煙者が上手く共存できるために」、酒税も同じ、ガソリンやら重量税などの「車関係の税金」は「道の整備等、国民の安全のために」・・・というように、「取られた分は、そのために税金を使われるならまだ理解できるが、政府に入った途端にゴッチャにされてしまうので、「何のために払ったんだろう」と感じてしまう。(一般税)

 

4.結局は、昔から金持ちだった人と、上手くやって金持ちになれた人だけが幸せで、「本来なら普通に生きていたハズの」国民が絞られるだけ絞られて、不幸になっているという不平等感。

(だから矛先は世襲議員に向かう)

 

5.税金の徴収に関しては、やれ年末調整だ、確定申告だ、と、思いっきり細かく資料を準備させて、ここからも取るんかい!!という状態なのに、税金を使う方は気軽にポンポン使って、しかもその収支は国民には見えない

だったら年末調整も確定申告も、こっちもどんぶり勘定でいいじゃねーか!!!と思ってしまっても当然だ。



このような理由から、既に国民は「増税」という言葉にイライラするのではないだろうか。

それなりに満足のいく生活ができ(自分の両親と同じくらいの生活ってイメージかな)、老後に対してもここまで大きな不安は抱えず、まぁそれなりに、最期の日まで生きられるんだろうな。

頑張って働けば、結婚して、子供が出来て、家を建てて、車を買って、週末には家族で出かけて、子供の誕生日やクリスマスにはちょっと奮発してごちそうを食べる。

老後は夫婦でちょびっと旅行でもしてみよう。

 

そんな未来像を描ける状態なのであったら、国民もここまで「税金」アレルギーにならずに済んだのではないだろうか。



そして、ここでようやくヒゲの隊長(私はこの愛称が好きだ)の最初の言葉に戻るのだが、何故私がこの、「ふるさと納税」型の「防衛納税」に納得したかというと、

 

1.日本人は安全に対して鈍感であり、平和ボケ、等と言われるが、案外そうでもなく、危機感を持っている人は多い。

 

2.SNSの普及によって、例えば同じミュージシャンが好き、同じ趣味がある、または日本が好きな外国人が日本語でSNSに投稿することで、「国外」が身近になっている。

 

3.外資系企業が増えた影響もあるだろうが、第二原語として何かしらの語学がある程度話せる人も増えてきているし、スマホの普及で、自分では話せなくても、お互いにスマホの自動翻訳を使う事でコミュニケーションが取れるようになっている。



こういった感覚から、案外日本の防衛、また世界情勢という事を気にしている人は多い。

例えそれが、「あー、コロナ終わったらあの国に行きたかったのに、危なそうだなぁ」くらいの軽い感覚であっても、だ。

 

また、日本のぶっ飛び感覚を面白がる海外の人も増えて、かつては「表情がなくて何を考えているのか分からない宇宙人」だった日本人が、「日本がまたやりおった!!!!wwww」と、淡々とぶっ飛んだ事をする日本を楽しんでくれて、それこそ秋葉原に行きたいがために来日する、とか、「日本の立ち飲み屋で飲んでみたい。急に話しかけても大丈夫だろうか?ワイワイしてみたいんだ」というような感覚で来日する人も増えてきているので、かつてよりは彼我の距離は狭まっていると感じる。

 

(ゲームの存在も大きいと思う。例えば、ゲームの中で「必殺アイテム」としてよく出て来る「歴史的な武器」は、伝説の物が多いが(エクスカリバーみたいに)、日本の「草薙の剣」に、「あれは想像上の物ではなかったのか!!!」と感動する人と話したことがある。

「れ、レプリカらしいけど・・・本物はどこかの神社に隠されてる、とか言われてるけどね・・・」とおずおず説明したが、既に聞いてくれてはいなかった。)

そういった、「いまだに神話とつながった世界に生きている日本」だとか、京都橘高校吹奏楽部、通称「オレンジの悪魔」や、「動くガンダム」が横浜にあったり、「風の谷のナウシカ」に命をかけて「メーヴェ」を作ってしまった人、など、「日本人がやりおった」という評判が広まって、不思議な感動(呆れてる人もいるかもだな)を与えているらしい。

 

そんな感覚から、日本人が海外に向ける目もどんどん近くなっていれば、海外から日本を見る目も近くなっている。

なので、ウクライナの事も本気で心配してみている人も多いし、香港が変わってしまった、という事を嘆く人も多い。

そして、台湾までもが中国に飲み込まれたら・・・!!!!というように、「個人的に」出来る範囲で防衛に参加したい、と思っている人は案外多い。



だとしたら、一方的に何に使われるのか不明な「増税」よりも、ふるさと納税の仕組みで、「日本+近隣諸国の防衛のため」と「ふるさと防衛」として納税してふるさと納税のように年度末か、確定申告で少額でも戻ってくる方が、今の世代にはお得感があると思うのだが、どうだろう。

少なくとも、私はそう思う。

 

というのも、私も個人的に台湾に友達がいるのだが、3.11の後、「被災してたら、飛行機が飛ぶようになったら台湾においで。ひと部屋空けておくから」とか、私が猫を飼っているので日本に残る決断をした後は、「少しでも復興の役に立つのなら」と、月の給料の半分をずっと寄付してくれてたのだ。

おそらく、3.11から半年間くらい。

勿論それは主な生計は彼女の旦那さんが担っていて、彼女のお給料はその補填や、貯金、または息子たちに何か特別なことをする時用だった、というのもあると思うが、半年間、給与の半額を「Save the Japan」として、ずっと寄付してくれていたと後で聞いて、本当に涙が出た。

 

その後、台湾に行ったときには、彼女の家族総出で歓待してもらい、おじいちゃん、おばあちゃんまでもが私を抱きしめて、「よく生きてた。本当によく生きてた。生きててくれたから、こうして会うことが出来た」と涙してくれて、私も号泣したものだ。



上記は私個人の台湾との関係だが、台湾は親日国としても有名だし、加えて、万が一台湾に何かあれば、次は確実に日本だ。(台湾と沖縄はすぐそこだ)

そこを防がなくてはいけない、という事を理解して、危惧している人はかなりいるだろう。

だとしたら、「ふるさと防衛」は効果があるのではないか、と思うのだ。

 

よく分からん使い道をされるくらいなら、はっきりと「日本を、台湾を、日本を好きな人たちを守る」ことに自分のお金を使ってもらうために。(政治家の通信費として消えるくらいなら、よほどいい)



ヒゲの隊長、さすがはイラクで現地の人々の信頼を勝ち得た人である。

色々と問題となりそうな、または憲法に抵触しそうな発言はしているが、それは彼が「最前線」にいたからこそ、出てしまう発言なのだと思う。日本国憲法戦勝国である米軍がメインで作ったものなので、日本人をいかに「子ヤギのように従順に」させるか、と作られているものではあるが、我ら不思議な日本人は、それさえも「大切なもの」として今に至るまで改正していない。

ちょっと考えれば、永世中立国を名乗っているスイスの国軍はすごい整備だし、「中立でいるために」侵攻されないようなパワーバランスを保てるように、軍事費を使っている。日本も「防衛」は出来るので、軍備はしているが、正直、足りないとは思う。

 

そう思うと、この「ふるさと納税型軍事費納税」って、効果的な気がするんだよね。

 

と、ここまで書いて、「ふるさと防衛」・・・・改めて考えてみたら、これって「宇宙戦艦ヤマト」的な考え方か。なんでクルーが全員日本人だったんだ!?とかツッコミどころは満載なんだけど、でも、日本人の感覚としてはストンと腑に落ちてしまうんだよな。

ふるさと防衛、やってくれないかなぁ。

それで税金の還付金が入るなら、納税するのにな。