氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

妊娠、出産は「当たり前」じゃない

さだまさしが、ももクロに言ったという言葉が炎上しているらしい。
(これが新年一発目の投稿になっちゃうとは)
内容は、

「やがては結婚してほしいわけよ、それぞれね。1人ずつさ、娘を産んでほしいわけよ」

というもの。
そしてその娘達がももクロ2世グループを作って・・・と繰り返していくと、歌舞伎のようになれる、という発言。

当然ながら、Twitterでは賛否両論となっている。
個人的に、私もこの手の発言は「気持ち悪いな」と感じてしまう。

しかし、ふと「何で気持ち悪いって感じるのかな」と考えてみると、自分でもちょっと意外な事を意識下で考えていることに気づいたので、それで書いてみようと思ったのだ。

 


私自身は、「氷河期初期世代」なので、それこそどこに勤めていようと、まぁセクハラはほぼ「当たり前」のように存在していた。
言葉しかり、ボディタッチしかり。
結婚した後(今は離婚済)、「子供はまだ?」と聞かれたことも何度もある。
その時も嫌な事は嫌だったが、世の中がこうして「コンプライアンス」を遵守する流れになってきて、また、自分も年を取っていって、ますますこの手の子供がらみの言葉に敏感に反応するようになってしまっている。

何故なのだろう、と思った時に、「女性」と「子供」に関して、色んな問題が入り混じっているのを経験してきて、それがあまりにも多種多様だからこそ、「カチン」「ムカっ」と来る回数が増えていき、それが割と日常的に発生するので、「嫌だ」と思うレベルも上がっていった気がする。

 


1.「産んでくれよ」←女一人では子供は出来ません。女性に対してこの発言をするのなら、男性に「孕ませてやれよ」とオープンに言えますか?と思う。
さださん、是非ジャニーズとかに「早く結婚して、奥さん孕ませて」と、公共の場で言って下さい。あなたのキャリア、終わるかもしれないけど、同じ事ですよ?
また、子供を産む経緯は全て超プライベートな事で、本来他人が口出すべきではない。(配偶者同士でも地雷になりかねない話題なのだから)
友達が「妊娠したの~やっと安定期に入ったから言える!」と言ってきて、「おめでとう!予定日いつ頃??」と返答するのとは訳が違うのだ。

しかも娘を産めって、そんな簡単な話じゃない!!

 


2.男性が気安く「子供を産んで」と発言する事の無責任さを理解したから。
若いうちはセクハラありありだったのと、まだ時代的にも「結婚=子供」の流れがあったのでそこまで気持ち悪く感じていなかったが、この年になると、妊娠、出産という事がどれだけ女性の心身を痛めつけるものか、という理解も出来たし、その「妊娠、出産」を経験しない側の男性が気安く言うんじゃねーよ、という怒りが湧くようになった。


妊娠、出産があるからこそ、出世しにくくなったり、昇給しにくくなったりするマミートラック
男女共同参画という名のもとに何故か女性側が「仕事・家事・育児・介護」という無茶ぶりを課されること。
(男性育休が増えたとは言っても、企業側はしぶしぶそのサポート体制を整えたりしているが、そもそも女性が育休に入る、という時には、「その間はみんなで穴埋めて」とか、「この部分は〇〇さん、この部分は〇〇さん、育休中は代理でやって」、という感じで、企業側が周囲の負担にならないように、なんてことはお膳立てしないで来てたんだけどね。)
また、そもそも「出産」自体が、何故か日本では「より苦しくなるように」求められたりする。(無痛分娩などの選択肢が選びにくい。)
出産時のトラブルで最悪、生命の危機に立たされることもある。
そういうことも考えずに、気安く言うんじゃねぇ、人生かかってるんだ、と言ってやりたくなるようになったのだ。

 


3.ももクロメンバーの年齢から、「さも当然」のように結婚、妊娠、出産を公に求められる気持ち悪さ。
私はももクロは、THE ALFEE坂崎幸之助さんがらみでフォーク村の記事でちょこっと見たくらいだが、改めて調べてみると、メンバーの年齢は20代後半。
さださんの年齢的には、「女性は出来れば早いうちに子供産んで、体力あるうちに育児やった方がいいよ」と刷り込まれているのだとは思うが、それが結果的に、「20代後半の女性」=「そろそろ賞味期限切れるから、急いで結婚して、出産しないと!」という無意識のメッセージをこちらが嗅ぎ取ってしまう。
女性でも男性でも、20代後半というと、仕事が楽しくなってきたり、新しいことにチャレンジしたい!と思ったりする時期と重なりやすいと、これは自分自身も、または友達などを見ていても思った事だ。
現在、50歳を超えている私の頃はもっと露骨に「クリスマス過ぎたら安売り」(女性としての売り手市場は25歳が限度)と言われていたが、四半世紀経ってもその感覚が残っているんだなぁ、という悲しさと、男だって育児はしなきゃいけないんだから、女が30歳までに!と言われるなら、その配偶者も30歳まで、もしくはちょいオーバーくらいがいいってことだよね?その感覚はないんだね?父親って楽だねー!!
という、どす黒い嫌味を言いたい衝動にかられる。

 


4.不妊、という事。
思えば、私が幼かった頃から、近所にはお子さんがいない夫婦や、今となっては分からないが、新年などにも誰も帰ってこなかったことから考えると、お子さんがいなかったのではないか、というような老夫婦は身近にいた。
幼い頃は、本当に田舎で暮らしていたので、そういった距離感はかなり密接だった。(母はすごく頑張って縁もゆかりもなかったその土地に馴染むようにしていたのだろう)
だけど、「お子さんがいない」という事をヒソヒソするような空気はなかった・・・気がする。
あくまでも、子供だから分からなかっただけかもしれないが。
また、母の友達の中にも最終的にお子さんは持てないまま、となってしまった方もいらしたが、すごく気持ちのいい方で、また姉や私を可愛がってくれたので、私たちはその「母の友達」が大好きだった。
姉と二人で母の友達と、母を連れて香港まで旅行に行った事もある。(勿論私たち二人は添乗員である。笑)
その時にキャッキャキャッキャと話している母を見て、「ああ、お母さんもやっぱりガールズトークするんだ。楽しそうだ。よかった」としみじみ思ったものだ。

 

と、脱線したが、私にとってそれくらい「不妊」というものは身近だった。(選択子なしだった可能性もあるが)
しかし、自分の友達が不妊治療をしていて、すごくつらそうだったり、もう時間がない、これでダメだったら、というような時に電話で泣かれて、何か言ってあげられるのかも分からず、それでも「多分、これは旦那さんには見せられない涙なんだ」と思って
真夜中まで「うん、うん。」と長電話して、何もしてあげられないもどかしさに悩んだこともあった。
人工授精まで行った友達はいなかったが、タイミング療法、ホルモン剤等の話はよく聞いた。
そして結局、そろそろ50歳になるか、という年になってから、友達の方から「最後の最後に、旦那がやっと不妊検査してくれたら、男性不妊だったんだよ。あり得ないよね」と、ポツリと言われて、友達の旦那を締めあげたくなったこともあった。(その友達はホルモン治療の影響なのか、更年期もかなりキツイ状態になっているし、視力や聴力に影響が出てしまい、今でもハンディキャップを持っている。)

 

結婚したら自然にいつの間にか妊娠する、というカップルばかりではない。
自分の周り、友達やわりと近しい知り合いの中でもこうして子供を授かっていないカップルがいるのだから、「子供産んで」と、軽く言えるほど、「それが自然なこと」「当たり前」ではない、という事を分かってほしいものだ、とも思う。

 

 


こーんな事を、意識下でモヤモヤと感じてしまうから、芸能人や政治家の「女性は子供を産んで」という発言に私は反応してしまうんだろうな。

 

性別が違うのだから、仕方がない、と思ってはいても、理解されない、理解しようともしてくれない、という壁と、結局ずーーーっと戦って来てしまった年代だからなのかもしれない。


それに対して、こうしてYouTubeやブログ等、色んな媒体で個人が語れるようになった今、例えば「生理チャレンジ!」という感じで男性に生理を疑似体験してもらう企画や、企業が学校に呼ばれて、男女両方の生徒に性教育の一環として、「生理ってこういうものなんだよ」と教えるような活動も始まっている。
生理は毎月同じ日に必ず来る(そんなワケない)とか、1日で終わる(それならどんなに楽か)とか、初潮の時期を知らなかったお父さんが、「え!娘はまだ小学生ですよ!!!」なんて驚いていたりと、女性に関する事は秘められてきたからこそ、今、逆にオープンにしようとする活動も始まっている。

 

男子も生理を知り、生理が妊娠のために起こっている身体反応で、それを理解することから、そこから男女で「避妊」を知り、悲しい妊娠をちゃんと避けられるようになって、幸せなルートにちゃんと乗れるような社会にしていきたいなぁ。
そのためには、子供たち、学生たち、若者たちよりも、「余計な一言を言ってしまいそうなおじさん、おばさん」に知識のアップデートをしてもらうことも必要だろう。
とりあえずさださん、アナタ、ちゃんとももクロメンバーに謝って下さいね!