氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

クマに注意!YouTuberにはもっと注意!!

北海道での今年のヒグマ被害が止まらない。年々、増えているように感じる(あくまでも体感的に)
先日、被害者が出たのは幌加内旭川よりも北、朱鞠内湖で釣りをしていた人だ。
朱鞠内湖人造湖で、展望台などもある。
北海道の絶景を楽しみながら、士別市にも近いので行きやすいスポットだったのだろう。


ヒグマの目撃情報は道内ほぼ全域と言ってもいいくらいだし、最近は餌を求めて住宅街に出没するクマも多くなっているようだ。
ちなみに、北海道にいるのはヒグマ、本州はツキノワグマと言われている。


私は本州、長野と秋田でクマと遭遇したことはあるが、両方とも自分は車の中、相手は子熊の状態。
子熊の近くには必ず親熊がいる、と教えられてきたので、すぐさまUターンして、反対方向に逃げた。
「クマに襲われたら、大人のクマなら車に乗っていても最後は負ける」
「人を食べたクマは、人肉を好むようになる」
こう言われて来ていたので(どこまで真実かは分からないが)、クマ!と思ったら、私は反射的に逃げる。
「あら~子熊ちゃんだわ」なんて余裕はない。まさに脱兎のごとく逃げる。


今回、朱鞠内湖で犠牲になった方はその地域に慣れていたようなので、クマ対策グッズもおそらく持参していたのでは、とも言われているが、一度大人のクマにロックオンされたら、大型の武器を持っていないとほぼ意味はないとも聞いたことがある。
それこそ、鉈や鎌など、逆に持っていたら銃刀法違反になるような大型(銃刀法に引っかかるのは6センチ以上)の武器を持っていないと助からない、ということだ。
犠牲になった方は釣りに行っていたようなので、そういう武器はおそらく持っていなかったのではないだろうか。
いずれにせよ、ご冥福をお祈りしたい。

 


そしてこのヒグマの目撃情報が多い印象があり、犠牲者も出ている中で、YouTuberの愚行に私は腹が立っている。
札幌近くの雑木林の中でなんと、「ピザとポテト」を食べながら実況し、案の定クマが出てきて逃げる、という内容だ。
しかも、その付近では既にクマの目撃情報が出ていたようなので、確信犯だと思われる。
そんな中、アツアツのピザとポテト
クマは匂いに敏感だ。気付かないはずがない。
YouTuber達は逃げたわけだが、勿論クマはピザとポテトを食べた。
餌付けしたのだ。住宅地近くで。


餌付けじゃない、ほんとに出ると思わなかった、だって怖いじゃん、とでも言うつもりだろうか。ならなぜ、人間でも気づくような匂いの強いものを食べていたのか。
せめてパン(あったかくないやつね)とペットボトルコーヒーとか、そうは出来なかったのか。


ヒグマは走ると時速50キロを超えると言われている。
人間は一般男性で早い方でも時速12キロと言われている。ヒグマにロックオンされて、追いかけられたら勝てるはずがない。
しかも住宅街の近くという事は、子供がいる可能性もある。(人間の)


そんな場所で、「ピザとポテト」!!!!!!
もし、彼らの愚行で住宅地に近づいてきたクマが人を襲ったら・・・・・そのYouTuberから食べられて下さい、と言いたい気分になる。

 


このYouTuberは、有名な「三毛別羆事件」や「福岡大ワンダーフォーゲル部羆事件」を知らないのだろうか。
知っていてこの愚行を行ったのなら、本当にひどい。
あ、上記2つの事件をググる人がいたら、閲覧注意です。文章だけでもかなりキます。

 

 

そして私が何故、ここまで「クマ怖い!!」と思っているかというと、私が母校の大学で非常勤職員をしていた時に、学生の引率で長野の山荘での合宿に付き添った事があるのだが、その時の経験が大きい。
母校なので、私自身も学生として山荘に来たことはあったのだが、裏で職員がこんなことをしていたとは・・・!とショックを受けた。
というのも、山荘では講師がついて合宿授業という形になっているのだが、必ず職員(講師ではない)も2~3名つく。
私はこの職員の一人として行ったのだが、学生相手にすることは点呼だけだ。
(フリータイムの後、全員戻ってきたかとか、最終日の解散前に全員帰ったことを確認するとか)
これだけのために複数人の職員はいらない。


何のために2~3名が引率するかというと・・・クマ対策なのだ。
私が行った時は2名だったのだが、そうすると6時間~8時間交代で起きる→寝る→起きるを繰り返す。
どちらか片方は必ず起きているわけだ。夜中でも。
職員は点呼の時には1階エントランス脇にある受付のような小部屋にいるが、それ以外は別の部屋にいる。
その部屋は普通にシャワー(大浴場とは別)やトイレ、布団等もあるのだが、所謂空気銃と呼ばれるものが設置されている。(ネット検索して出てきた空気銃とは違う感じだったので、呼び方が違うか、もしくは今は使われていないのかもしれない)
それから、ホットラインの電話。
ホットラインの電話は最寄りの交番へ(最寄りと言っても結構遠い)、そしてもう一つある電話の前には、くっきりハッキリ、でかい文字で電話番号が書いてある。
その番号は、「猟友会」へのもの。
そう、職員はクマ対策のために来ているのだ。


起きている職員は、施設内を巡回したりはしない。単独行動の方が危ないからだ。
山荘は住宅地、とも言えない、隣の明かりが見えない距離、という感じの山の中にあるのだが、クマの目撃情報はそれなりにあった。
そのため、学生は勿論「夜間外出禁止」だ。(どっちにしても、夜外に出ても街頭もなく、完璧真っ暗だしコンビニの一つもない山の中なので出ようという学生はいないが)

 

そしてクマが山荘に近づく一番の目的は、ゴミ漁りだ。
可能な限りゴミの匂いをなくす対策はしているが、それでもクマの嗅覚はすごいし、クマが空腹だった時は山荘に近づいてくることもある。
なのでゴミ置き場が見える位置、山荘の周りを見渡せる位置、など3か所くらい山荘内で見張りが出来る場所があって、職員が泊まる部屋はその見張り場所にすぐに行ける場所にある。(なんかこう書くと忍者屋敷みたいだな・・・)


引率している職員で、起きている「当番」はテレビなどはつけてはならず、とにかく「音」や「空気」、「虫の声」に注意する。
異変を感じたら、空気銃を持って見張り場所へ。
クマがいることが分かっても、空気銃はすぐには撃たない。先に電話だ。
「山荘の近くにクマ出没中」を伝えると、山荘の母屋に近づいて来たり、襲いそうな気配が感じられないか、動向を見守る。
ちょっとでも「危険」と感じたら、猟友会へ電話。
そんな流れになっていた。


その流れが、職員詰め所の何か所かに貼ってあり、最初に行った日は本気で驚いた。ここまでするか、と。
実際に被害が出たことはなかったが、猟友会に来てもらった(危険度MAXということ)事はある、ということでその時にどの方向を見ていても何をするか思い出せるという事で四方八方に手順や電話番号が貼ってあるのだ。(パニックになると連絡し忘れたりもあるので)
ぶっちゃけ、お札が貼ってあった!よりも怖かった。お化けの方がマシだ。


真夜中の山は結構色々な音がする。
それは知っていたが、「クマが出る可能性があるので」という前置きがあると死ぬほど怖い。
それだけ、大学側は「本気で学生を守って」いたんだ、という事を職員になって初めて知った経験だった。


何度かその引率には行ったが(日当がすごくよかったのだ。多分、危険手当的意味合いもあったのだろう)、行くたびに「やっぱりやめとけばよかった」と後悔したものだ。


皆さん、クマが空腹な時はクマよけグッズなどは無意味なので、いそうなところには行かないように・・・。
特に単独では。
ピザポテトYouTuberは、次の冬眠時期まで、その雑木林で暮らしていて頂きたい。何かあったら、住民が逃げられるように時間稼ぎは出来るでしょ!