氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

男の下駄と女の下駄

「男の下駄は透明ニューバランス、女の下駄はボロの草鞋」


何故こんなことが浮かんだかというと、今週発表された慶應ワタミが組んだ食事支援が男性差別だ、と炎上しているのを見たからだ。
私はこれは個人的には、学生数が減っている中で学生を確保したい(特に女子学生)大学側と、商品を知ってもらう事で購買層を増やしたいワタミの経営戦略が重なったものだと思っている。

 

今回の慶應ワタミが打ち出したものは、表面を見ると確かに「女子のみ優遇」に見える。

支援1)1人暮らしを始める女子学生に向けた食の支援
支援2)生活困窮者に向けた食の支援

炎上しているのはこの1と2の支援規模が違う事と、1の方が充実していることからの炎上だ。
1の支援は、ワタミのミールキットを毎月8セット分、無料で提供というもの。1セットが2人用なので、上手く回せば16食分になる。
しかし2の支援では、毎月1回1食分のワタミのお弁当を無料提供、というもの。

 

このまま見ると「何で女子だけ」という気持ちになるのは分かるが、そもそも慶應の女子学生の割合は40%にも達していない。
しかもその中で「一人暮らしを始める」女子学生はもっと減るだろう。
そして、何故ワタミが「女子学生にはミールキット」「困窮学生にはお弁当」というコンセプトにしたかを考えると、そのあたりから見えて来る現象もある。(女子にもお弁当でよかろうとかね)

 

私が「見えて来る」と思ったのは、女性差別を論じる時に言われる、「男の下駄」が透けて見える気がするのだ。

 


よく、「別に男の下駄なんてない」「女の方が優遇されている」と旧ついったなどでは言われているが、男性目線と女性目線、そして大体30才辺りを境にして細分化されていき、「中年男性、高齢男性、既婚男性、独身男性、子持ち男性、子なし男性・・・」と
分岐していき、同じように女性も「中年女性、高齢女性、既婚女性、独身女性、子持ち女性、子なし女性・・・・」となっていく。


話しが行き違うなぁ、とは毎度思っていたが、もしや、と気づいた事があった。


それは、「男性が優遇される状態は、明文化されていない(透明)」が、「女性が優遇される状態は明文化されていない(でも全く足りてなくて下駄にもなってない草鞋だが)」のではないか、というもの。

 


例えば、
1.医学部不正入試問題: これは裏で(=公表せずに)女子の点数を下げ、男子が入学しやすくするために調整されていたのがバレて訴訟になった件。東京医科大、順天堂、聖マリアンナ医科大等、今も継続中。
  
  男子=下駄あり(公表なし)/ 4浪以上の男子は下駄なし(公表なし)
  女子=下駄なしというより地面にめり込ませる感じ?(公表なし←ここがバレた)

  不正の理由となったもの: 女性は結婚、出産で辞める。夜勤が出来なくなったり、早退したりする。長時間勤務が出来ない等。

 


2.就職活動時の男子優先採用: こちらも既に「暗黙の了解」のように、男子が優先的に採用されている状態が続いている。

  男子=下駄あり(公表なし)
  女子=下駄なし(公表なし)

  不正の理由となっているもの: 女子は結婚、出産育児で離脱する可能性が高い。

  また、この性差は同じ職場で同じレベルで始まっても、男性の方が大きな仕事、大事な出張などに抜擢されることが多いなど、仕事をしている中でも続いていく。

 


3.そもそものインフラ等: デフォルトマン(=成人男性平均)基本で街や乗り物は設計されているが、別に各所にそういった表示があるわけではない。つまりは、調べない限り「公表なし」

  男子=下駄あり(公表なし)
  女子(女性+高齢者+子供+身障者等=下駄なし(公表なし)

  

  余談だが、高齢男性がイライラと不機嫌オーラを発していて、ぶつかりおじさんになったり、ポテサラを買う主婦に文句を言ったり、クレーマーになったりするのは、自分の身体能力が落ちてきて「今まで何も考えずにスイスイとやれていた事」が突然やれなくなったからかもしれない、とも思う。

 


ではここから、よく「女性優遇じゃん!」に上がるもの。

 

1.電車の女性専用車両: 痴漢予防のために各鉄道会社によって導入されたもの。

  男子=下駄なし(公表あり)
  女子=下駄あり(公表あり)

  これが一番槍玉に上がっているが、痴漢や盗撮をする人がいなくなれば形骸化するので、なくすことは可能。
  ちなみに、男性専用車両を作ろう、というネットでの署名活動は2019年からchange.orgサイトで行われているが、未だに目標値に届いていない。

 


2.映画館やレストランのレディースデー: 女性は複数人で動く(映画を見に行ったり、買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったり)するので、男性より給与が低かった女性を呼び込むために始まった、等所説あり。
    ちなみに、逆にメンズデーを作っている企業もある。(サウナ付きスパや、カラオケ、レストラン、居酒屋等)
  
  男子=店舗によって異なる(公表あり)
  女子=店舗によって異なる(公表あり)

  しかし、現時点でレディースデーやメンズデーはなくそうという動きもあるので、これからかなりなくなっていくのではないかと思われる。(映画館に行く人自体が減った、等の関係もあると思われる)


3.生理休暇: 企業によっては、女子社員に生理休暇を設定しているところもある。

  男子=下駄なし(公表あり)
  女子=下駄あり?(公表あり)

  しかし、厚生労働省の調査では生理休暇の取得率は1割を切る、という数字もある。
  理由としては、生理休暇を取っていると大事な仕事を任せてもらえなくなる、病気じゃないんだから・・・などのプレッシャーで取りにくい、生理周期がバレることで、社内で悪質なセクハラに遭う、等。
  また、生理休暇は無給となる企業もあるので、有休で対応している人もいる。

 


よく槍玉に上がるのは、この辺りだろうか。
こうして見てみると、流れ的に社会も、会社も、インフラも「男性基準」になっているので男性が有利な部分は当たり前として存在しているので、「見えない」。
だが、そこに女性や子供等、「成人男性以外」が存在するようになると、一定のルールを作る必要が出て来る事がある。
それが、男性の目には「女性優遇社会」や「女尊男卑」として映っているのではないだろうか。


慶應ワタミの試みも、明文化されたがために槍玉に上がっている。
これが慶應の校舎のどこそこにミールマーケットのような一種のボランティアスペースがあって、困窮している学生はそこでお弁当を安く買ったりすることが出来るようにした、という事なら炎上度合いは違っただろう。


そして最後に付け加えるとしたら、この中に犯罪被害者になる確率は入れてない、という事。(セクハラだけ1か所入ったが)
それを加味したら、いきなりハードモードになるから外しました・・・