氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

女性専用車両を叩く前に、痴漢を捕まえよう

千葉で、女子大学生と、男子高校生が痴漢を見事に捕まえた。
偉い!!すごい!!
JR久里浜駅からの千葉方面快速電車、ということはおそらく総武快速線。この路線は、激混みになることでも昔から有名だし、また痴漢が多い事でも有名だ。痴漢といえば埼京線、と言われるようになる前は、総武快速が言われることが多かった。
激混み度合いは、真実かどうかは分からないが、肋骨を折った人がいるとも言われるくらいの通勤ラッシュ。(ただ挟まれているだけだとさすがに骨折はしないと思うが、手すりや車両の角などで、角度が悪い状態で満員になるとあり得るくらいに混む。)
なので痴漢に遭ってしまったら、満員になってからだと逃げられない。

 

被害者の女子大学生も、もう一人の20歳の女子大学生と一緒に被害者を追いかけたというし、男がホームに飛び出したのが稲毛駅ということは、
帰りのラッシュになる寸前の時間帯だったのではないだろうか。

 

被害者女性と、痴漢行為に気づいた女性がまずは詰問。
電車内を加害者は逃げたが、見つかってまた詰問。車内を反対方向に逃げ始めたところで「追いかけて!」という声に反応したのが男子高校生3人。
最終的には男子高校生3人が追跡、そこから大騒ぎになって周囲の人の協力もあって取り押さえることに成功した、という事のようだ。
被害者女性の最初の協力者、女子大学生は被害女性に最後まで付き添った、と言うから、おそらく警察まで同行し、その間支え続けてあげたのだろう。
被害者女性と同じ年齢だが(報道では)、顔見知りではなかったようだ。
それでも、一人にはしておけなかっただろうし、動揺している被害者女性が一貫した話をすることも難しかっただろうから、どういった経緯でどうなって、どう逃げられてどこで高校生達も追跡してくれて・・・という流れをしっかり把握できていた、女子大学生が一緒に付き添ってくれたことで説明もスムーズになったのではないだろうか。


彼らは、意識していなかったかもしれないが、痴漢をした犯人を私人逮捕したことになるのだろう。
私人逮捕は、「現行犯」で、「犯人が知らない人で、逃走のおそれがある」、そして「捕まえてから、速やかに警察に引き渡す」ことで成立する。
ちょっと心配になるのが、私人逮捕の際、暴れる犯人を逃げられないように押さえつけすぎてしまって怪我をさせてしまう、などのトラブルが発生してないといいな、と思う。下手をしたらそこは「暴行罪」となってしまうので、やはり複数人で取り押さえ(人数で諦めさせる)、取り押さえる人と、通報する人、のように連携プレーが取れるのが一番いいと思う。
今回は、上手くそれが成り立っていたのがよかったし、協力してくれた男子高校生3人が追跡時から連携できたのもよかった。

お手柄!!!すごいぞ!!!


最近、本当に様々なところで「わいせつ罪」の摘発が行われていて、ならどこが一体安全なんだ、という事を考える人も多いと思う。
LGBTQの方々が被害に遭うケースもあるし、男性が被害に遭うケースもある。
そんな中、なくならないのが電車内の痴漢。痴漢撲滅YouTuberなども現れて来たし、今回のように痴漢を捕まえることに協力してくれる人も増えてきた。

しかし一方、唯一女性が「安心して」電車に乗れる女性専用車両はいまだに叩かれている。
悪質な痴漢行為、また女性専用車両導入のきっかけとなった悲惨な事件。そんなのはどこ吹く風で。


そんな、「痴漢をなくそう」という活動をせずに、「女性専用車両は逆差別」というのは、私はロジックがおかしい気がしてならない。
女性専用車両は逆差別だ、憲法違反(いや、憲法には関係ないのだけど。刑法とか条例なんだけど)だ、とワーワー言うのではなく、「痴漢がなくならないから、男が全員性犯罪者みたいに見られるんだ。痴漢を見つけたら捕まえよう!そして痴漢が減れば、女性専用車両はいらないって言えるじゃないか」と、どうしてならないんだろう??

 

女性専用車両はあくまでも「お願い」ベース。
聾啞者を女性専用車両からたたき出した、と言うようなケースはあってはならないので、そこは女性側もやりすぎをちゃんと認めて、やってしまった人たちはしかるべき謝罪をしなければいけないと思う。
また、痴漢冤罪も、意図的に(お金欲しさに、等)でっちあげた、等は正々堂々と「これは冤罪です」と進めるべきだし、そのために痴漢と言われてしまっても、ちゃんと釈明したり、反証する実績は積み上げられなければいけないと思う。
痴漢と言った者勝ち、というのも私は違うと思っているので、そこはプロセスを変えて行ったりしないといけなければ、論議されるべきだ。


だが、だ。
そもそも「痴漢」という性犯罪がなければ、冤罪も起きないし、聾唖者をたたき出してしまったりすることもない。
出発点をそのまま放置して、そこから派生してきた問題に対してアレコレ言っていても、出発点がそのままなんだから、また亜種が出て来るだけだと思うのだ。


それならば、「女性専用車両は男性に対する差別だから廃止」と活動するのなら、「それが目的なので、痴漢撲滅運動をします」とならないと、本当はロジックは成り立たないんじゃないだろうか?
間違えて乗ってしまっても別に罰金が発生するわけでもないのだから、本来なら逆差別とも言えないだろう。
それを逆差別とするなら、優先座席だって逆差別の対象になるのだが、対象が「女性」ってことだと納得できない、というのはおかしい気もする。

 

女性専用車両なんてものがなくていいようにする、という活動ならば、大多数の女性も応援するだろうし、痴漢対策として女性専用車両は効果が薄い、車内カメラが一番、というなら、「女性専用車両がいらない社会にするために」でクラウドファンディングするとかできると思うのだが、どうだろう?
しかも、そもそもがこれは各鉄道会社がサービスの一環として提供しているものなのだ。

私のように立派にBBAな年齢でも、若い頃に受けた痴漢の恐怖はいまだに鮮明だ。
私は「今、まさに被害を受けてます」の世代の娘がいる年齢だから、もしそういったクラファンがあったら、いくばくか支援をしたいと思う。


なので、「女性専用車両をなくそう!」をするのなら、今回の勇敢だった女性二人、男性三人のように現行犯逮捕の流れを作るように活動していけばいいのではないだろうか。
「痴漢に遭っている人を見かけたら」とか、「もしかしたら痴漢に遭っているかもしれない人を見かけたら」どうするか、という事を話し合って、Webサイトで警視庁の「デジポリス」を紹介したり(防犯アプリ)、現行犯でまさに逃げている人を見かけた時に取る効果的なアクション、「怪我をさせないように取り押さえるには」、等など、そういったノウハウ。
警察の広報に話を聞きに行ったりすることも出来るだろう。

鉄道会社に、「どうすれば女性車両をなくせるか」を聞きに行くのもいい。
その時に鉄道会社が求めている、痴漢撲滅のためのアクションを聞くことも出来るだろう。

NPOなども様々なものがある。
性加害は、常習的になると所謂依存症状態になることが現在では分かっている。
もしかしたら、捕まっていない加害者で、「本当ならしたくないのに止められない」という人のために、「こういう病院が更生プログラムをやっています」という紹介をWebでするのも、手段の一つかもしれない。


少なくとも、「女性専用車両男性差別です」と書いたプラカードを持って女性専用車両に乗っているアクションよりは、好意的に見られるだろうし、賛同も得られると思う。
女性専用だと!男性差別じゃないか!!は、あまりにも脊髄反射な考え方だと思うのだ。


それこそ、医大受験の男子優遇、一般入試でも、大学で男子と女子の成績では女子の方が高いので足切り点が女子だけ高かった、就職の時も同様、SPIなどのペーパーテストでは女子の方が高得点を取るので、女性は妊娠出産が・・・・と、恣意的に男性を優遇している傾向は続いている。

女性もそれは分かっている。
が、諦め半分、悔しくてもグッと堪えて就職活動を続けたり、いっそのことで海外で就職したりと方法を探している。


「女性優遇は男性差別!」は、長年、明治以来ずっと堪えてきた女性から見ていると、あまりにも短絡的で脊髄反射的な意見に思えてしまうのだ。
しかも、「男性差別って・・・悪い事してる(痴漢してる)人の多くは男性だろ?自分たちで決着つけろよ」と、女性がスン・・・となっていることにも気付いていないのかもしれない。


しかし、だ。
こうして若い人達が自分達の力で、「悪い人捕まえました!」と実力行使が出来るというのは、すごく心強い。
彼らはまだ、社会に染みついている「ジェンダー」や「属性」、「年齢」などのしがらみに染まり切ってはいない。
街を歩いていても、いかにも~~な男子高校生の一団が、ベビーカーが見えたらモーゼの十戒のようにサーっと歩道を開けたり、髪は金髪、耳はピアス沢山のフリーターっぽい青年が、スーパーでおばあちゃんがカゴをレジに載せられずに困っていると、スッと
手を出しておいてあげたりしているのを見かける。
仏頂面のまま、何も言わずにってところがまたかわいらしいのだが。
私が一時期松葉杖だった時も、電車で席を譲ってくれたのは若い男の子ばかりだった。

 

勿論、若い子達全員が、とは言えない。
それでも、少しずつ少しずつ、「普通に人間同士です」が出来る世代が作られつつあるのではないだろうか。


まずは、痴漢捕まえた君たち、よくやった!!ありがとう!!!