氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

コミュニケーションで「同意」を取ろう

「同意」とは何なのか。
2023年7月13日から施行された、「不同意性交罪」
これまでは「強制性交等罪」「準強制性交等罪」と呼ばれていたものを統合したものだ。


Twitterの中だけと思いたいが、「不同意」が分からない、という意見をよく見かける。そして施行されてからも連日、性犯罪のニュースは上がってくるし、その発言は判を押したように「無理矢理ではなかった」となっている。
「不同意」という意味が分からない、そんな人がそんなに多いのだろうか。


個人的には、性教育の中途半端さ(はどめ規制により、性交自体は習わない)、また不完全さ(性交を教えないことから、男子に女子の生理を教えず、女子に男子の精通を教えないこと)。
また時期的には小学校でこのあたりの性教育を受けるのだが、男女別に行われる方が多く、既に生理が来ている子がいる女子クラスでは「我が事」として授業を受けるが、男子クラスでは「エッチ」として茶化して終わってしまっていたのではないかという事が、同意・不同意の前に「性差」自体も正しく理解出来ていなかったのではないか、と感じている。

 

そして、次にスマホの普及と、無料AVコンテンツの多さだ。
AVはエンタメ、という事を理解できないうちにAVに慣れてしまうと、「同意」「不同意」は理解しにくくなると思う。
40年前は、ガラケーもなく、18禁は年上のお兄さんや従兄弟がいる生徒が学校に持って来てこっそり見ていたり、それこそ「ビニ本」が捨ててあるという場所は男子生徒は把握していたらしい。
テレビも一家に一台、リビングのみとなると、様々なラッキーが重なってAV(ビデオ)を借りることに成功したとしても、真夜中に両親、姉妹等が起きてこないか、という状況の中見るしかなかったと思う。

 

テレビが一家に一台から、小さめのテレビを自室に置く子供たちが出てきて、PCが出てきて、そしてスマホだ。
レンタルビデオ店で18禁のコーナーにコソコソ行ったり、借りるものを決めたらレジにいる店員さんが女性で万事休す!となった時代から考えると、確実にAVコンテンツに簡単にアクセスできるようになっているはずだ。


しかし、性教育は昔のままなので、偏った知識に基づいてしまう事になる。
なので、「経血は青いと信じていた人」や、「性交の最後は顔にかけるのが正しいと信じている人」、また「女性はポーズとして嫌がるけど実は喜んでいると信じている人」が大量生産されてくる。


こう考えると、「同意・・・って、え、どうすればいいの??」「女性は無理矢理がいいんじゃないの??」と言うような事を真顔で言う人が増えても・・・・仕方がない・・・・のか???

イヤイヤイヤ、やっぱり違うよ!


Twitterはじめ、様々なところで「どうやって同意を証明するのか」という論議が繰り広げられているようだが、そもそもこの法律は今まで加害者に甘すぎた法律を改正したものなので、「いちいち同意書取るんか」とか、「後から不同意だったって言われたら
どうするんだ」などと言っていること自体がおかしい。
不同意の要件はサクっと調べただけでも出て来るが、13日の施行開始から今まででも各都道府県で「初めて摘発」が並んでいるので、「どーすりゃいいんだ」と言っている人達はその、「これはアウト」となった事例から学んでいってもらいたいと思う。


そしてこれは、別に男性が加害者、女性が被害者と決まっているものではない。
女性が男性に加害する時もあるだろうし、男性同士の時もあるだろうし、女性同士の時もあるだろう。


「No means No」=イヤは、イヤ。

ただ、これだけなのだ。
どちらも、したくなければしない。断っていい。断る権利がある。
なので今まで女性がなーんとなく明確な意思表示をしないで相手にお任せ~~としていた風潮も変わっていくだろうし、「一度は嫌なふりをする」のようなことは、女性が率先して止めて行かなくてはいけないと思う。

「しようか」「しよう」
このコミュニケーションが取れなかったら、それはアウトだと思っていればいいのではないだろうか。


後から「同意してなかった」と言われるかも、と戦々恐々としている人達もいるようだが、それは、「ちゃんと言葉で」コミュニケーションを取り、お互い押し付けず、もし破局となっても相手から報復されるような別れ方をしなければいい。
そして、大事なのはこれは「お互いに」という事。
恋人なり、夫婦なり、納得ずくの関係性なり、お互いをちゃんとリスペクトしていればいい。

 

「俺が今したいんだから、する」
「させてあげたから、プレゼント買って」

 

こういう関係性はリスペクトではない。
複雑になってくるのは、例えば不妊治療中に、「今日排卵日だから、お願いしたい」と言われた途端に出来なくなりました、というような時だが、これも、スタンバイして妻側が待っているのに、分かっているが忘れてたフリして「あー呑んできちゃった、ごめん」と夫が逃げたりするのではなく、話し合う事は不可能だろうか。

その裏には、「夫の両親から、実はしょっちゅう孫はまだかの電話が入ってきていて、つらい。私が子供が欲しいのもあるけれど、追い詰められているのは孫産め圧力なんだ」とか、「とにかくタイミング法って思ったけど、そもそも俺が検査受けてないのが問題なんだよな。でも、これで俺に原因があったとしたら、と考えると怖くてどうしても行けないんだ」のように、「子供ほしいね」の裏に、鬼気迫ってしまう原因が合ったりすることもある。


女だって強い部分と弱い部分がある。
男だって同じだ。
トランスジェンダーの人達も同じだ。
年齢もある。子供は絶対に守らないといけない。


今回の法改正の前は、ぶっちゃけ、「拘束されていたり殴られたり骨折していたり、周り中が認識できるような抵抗」が証明できない限りはなかなか強制性交だと認められなかった、という長い歴史がある。
しかし考えてほしいのは、そこまで抵抗したら、殺される可能性の方が高くなってしまうという事。
もしくは、「殺されるかもしれない」と思うような状況になってしまうという事。

 

そして男女問わず、突然の性的接触、性的暴行の際、体もこわばり、声も出なくなる、というのが「通常の」身体反応なのだが、それを全く考慮していない法整備のまま来てしまっていたという事もある。


法律も、時代と共に変わる部分もあれば、保持し続けなければいけない側面もある。
上手く運用していけることを願うばかりだ。