氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

本当の脅威は、誰だ

タレントのryuchellさんが亡くなった。
正直に言うと、普段テレビを見ない私はryuchellさんの存在はネットニュースで上がってくるものとAbemaで見かけるくらいだったのだが、つらかったんだろうな、悲しいな、と思う。
亡くなったという報道の後に初めてモデルからスタートしてたんだ、と言うような事を知ったくらいなので、ご本人のことや、生前、ひどかったらしいバッシングのことなどは知らなかった。

ただ、「あれ?この人男の人じゃなかったっけ?」とは思っていたので、うっすらとLGBTQなのかな、とは思っていた。


昨日に引き続いての性的マイノリティ、LGBTQに関する事になってしまうが、今、混乱の元になっているのはLGBTQ「当人」ではなくて、「それを詐称する人」なのだ、という事を、ryuchellさんを通して再認識した気がする。
最近の写真を見る限り、彼(と言っていいのかな)が女子トイレにいても、または更衣室にいても驚かないだろうし、不自然にも感じないと思う。

 

元々知っていれば、あ!芸能人だ!的なビックリはあるかもしれないが、何しろ私はそこまで知らなかったので、多分「可愛いなぁ」とか思うくらいだったのでは、と思う。
Abemaで見た時には、さすがに声はちょっと低い(というか男性の声)なとは思ったが、その時は全く気にならなかった。
普通に、声が低い女性もいるしね。


なので、トイレで並んでいて、私の後ろに来ていても何も思わなかったと思う。
完全な性転換手術はされてないようなので、さすがに温泉などでかち合ったら、「ん????」と思うかもしれないが、温泉で人の体をジロジロ見ることはほぼないし(友達だったら、話しながら「あれ、痩せた?」とか、「背中に日焼けの跡が残ってるぞー」とかで相手の体を見ることはあるが、別に股間は見ないからな)、あそこまで顔が女性の顔だったら、偶然下を見てしまわない限り、違和感を覚えなかったかもしれない。


そりゃあ、パッと見て明らかに「男性」が女性スペースにいたら、えっと思うだろうし、警戒するだろう。
ヒゲモジャなまま、スカートだけ履かれて入って来られて「心は女なんです」と言われたら狼狽すると思う。
しかし、本当のLGBTQの人なら、「移行期のこの外見だと驚かれるだろうから、誰でもトイレに行こう」とか、「手術はしてないけど、どう見ても女性にしか見えないだろうから、女性トイレに入った方がいいのかな」など、本人自身がデリケートであることを理解していて、対応しているのではないだろうか、と思うのだ。

 

実際、夜の新宿等だと、おネェ様が「ごめんね!!こっち入っちゃっていい???」と、トイレの入り口で一声かけられたりしたものだ。
「今なら個室空いてますよー」とか返事した記憶がある。


ならばなぜ、ここまでトイレや銭湯、温泉、更衣室の問題が浮上するかというと、ただ単に、別にLGBTQでもない人がそう偽って性犯罪を犯したり、盗撮用のカメラを設置したりするのではないか、またはトイレの敷居の上下からスマホを差し入れて録画されるのではないか、とか、そういう事なのだ。


お子さん連れの方が、子供1人だけでトイレに行かせなければいけないケースもある。
お子さんが複数で、1人はグズってるからあやさないといけないが、上の子はトイレと言っている。とか。
両親や、大人が複数の状態なら分担してトイレに一緒に行けるかもしれないが、大人は全員女性で、男の子がトイレに行きたがっているとか、お父さんが娘と息子を連れていて、娘だけトイレに行きたがった時にお父さんは入れない、とか。


幼児、児童を狙った犯行も多い分、警戒ポイントだらけになってしまっている現状が余計に難易度が上がってしまうから、LGBTQの人が悪いわけではないのに、議論になってしまうのだろう。


昨日の経産省のトイレ使用違憲判断もそうだが、LGBTQに関して騒ぎになってしまっているのは、本質は「性犯罪が多すぎて、安心して生活出来ない」点ではないだろうか。
悪質な、レイプやそこから発展して生命をも奪ってしまうものも勿論だが、痴漢、盗撮、下着などの窃盗、住居侵入・・・そういう、「これくらいで」と言われてしまいそうになるが立派な犯罪だし、被害者にとっては全く「これくらい」な話ではない事件が多すぎる。
しかも殆どが不起訴、という事で何故不起訴になったのかも分からないまま、また次に起こる事件にとって代わられる。


児童への性犯罪に関しては、ベビーシッターから教師から、医者から、また教室内に隠しカメラを仕込まれて、等、事案として多すぎるのに対して、DBS(無犯罪証明書)もなければGPSもない。
教師が他の教師や、生徒、児童に性加害を加えても、学校内、または教育委員会に隠蔽される。
また、生徒間でのいじめ、しかも「性」を含んだいじめも隠蔽される。


性教育には「はどめ規制」があるが、本やネットには簡単にアクセスできる性的コンテンツがある。
正しい「性」を知らないままに、アングラな知識を仕入れてしまう場合もあるだろう。


「性」にまつわる話(別に猥談ではなくて)をオープンに出来ないという事が、逆に犯罪へのきっかけとなってしまったり、誤解や差別につながっているのではないだろうか。
そして、「本当の加害者」だけがのうのうと世間を闊歩しているようにすら、思えて来る。

(男性だって、痴漢の冤罪が怖い、と思うのなら、コイツ痴漢してないか?という挙動の人がいたら、その間に入るとか、鞄の位置をずらして安全スペースを作るとか、痴漢してると思われる人をジロッと見て「やめろよ」と圧をかけることは出来る筈だ)


いい加減、今回のような悲しい事を減らすためにも、LGBTQを理解し、受け入れ、「それを装った性犯罪者」を炙り出すために何かできることを探してもいいのではないだろうか。女性が動いてもいい。男性で、被害にあった人が動くことも出来る。勿論、普通の男性で、加害者でも被害者でもなく、一般市民として「性暴力なくそうよ。男は全員犯罪者じゃないよ」と動いたって言い。

カムアウトしている人達がアクションを取った時に、「皆の権利を守ろう!」と、参加することも出来る。


丁度、今日7月13日から性暴力・性犯罪への改正刑法が施行された。
被害を受けた事は恥ずかしくはない。やった方が恥ずかしい事をしたのだ。


私は、女性として生きているし、性自認も女性だが、いい年齢になっているのである意味「無性」にも近くなっていると思う。
だからお子さん連れでトイレで困っている人がいたら手助けしたいと思うし、LGBTQで困っている人がいても、手助けしたいと思う。
その時々で出来る事は違うだろう。
また、私自身が判断がつかなくて間違う事もあるだろうし、もしかしたら傷つけてしまうかもしれない。
(LGBTQの人に多目的トイレを勧めて、傷つく人もいるだろうから)
それでも、動かないよりはいいと思うんだ。過渡期にはトライアンドエラーがあることは、ある程度仕方がないと思っている。
でも、共生社会のためにも、個々人が「その時の」判断で動いていくしかない。


ryuchellさん、今はただ、安らかに・・・。
合掌。