韓国、ソウルの梨泰院で起こった、痛ましい事故。
現時点で死亡者156人、負傷者172人とロイターは報じている。
私は韓国に友人がいるので、梨泰院も行った事はあるが、友人も女性、私も女、という事で「夜、繁華街に飲みに行く」という事はしなかったので昼間にちょっと行ってみた、というくらいだ。
(年に2回とかのペースで行っていた頃は、友人のお子さんがまだ小さかったのでそもそも飲みに行かなかったし、ご飯も大体はホテル近辺のレストランや、デリバリー、もしくは友人のおうちで食べていた。定宿にしていたホテルの近くに、テイクアウトの
店が多いところがあったので、昼間、車で出歩きとか、ベビーカーで行けるところならお散歩、のようなことをして、テイクアウトを買って、ホテルの私の部屋でおしゃべりしながら食べて・・・だと、お酒、ってのは別に必要ないんだよね)
特に何をしに行く、とかではなく、「のんびり友達と話に行く」感じで行っていたので、余計に夜出歩いたりする必要はなかった、ってのが大きいかな。
でも、梨泰院にしろ、明洞にしろ、繁華街は道が狭くて入り組んでいる、というイメージはしっかりある。
日本でも歌舞伎町や原宿、渋谷センター街等、今はちょっとは区画整理されてきている感じはするが、それでもやっぱり狭い。
このラビリンス感と雑踏が、その場所を余計に「繁華街」にしているのかもしれない。
ハロウィンに起きたこの事故。
状況が報道されていくにつれ、やはり女性の死者数が男性の2倍強、となっている結果をみて、予想していたが、悲しいな…と感じた。
明石花火大会歩道橋事故の時にも言われていたが、「圧死」「群衆雪崩窒息」のような事故の時、性差が生存率を変えてしまう。
女性、子供、高齢者、障がい者等。
何故、性差が生存率に影響していくのか。女性を例にして考えてみると、
1.身長の差(女性・子供・一部高齢者・一部障がい者)
一般的に女性の方が身長が低いので、群衆雪崩のような状況では頭部も動かすことが出来なくなり、酸素を求めて頭部を動かすことすら不可能になる。そのため、男性より先に窒息するケースが出て来る。つまり、雪崩が起きる前に、既に亡くなっていた女性がかなりいたのではないか、と私は考えている。)
2.体格・骨格の差(女性・子供・一部高齢者・一部障がい者)
身長も含め、体格、また骨格は男女で違っている。(だから検死の時に骨だけでも性別の判定が出来る場合があるわけだ)
体格、骨格の差は、自分の体にかかる「圧力」を跳ね返せるかどうか、という事に影響するので、胸部が圧迫されて横隔膜等が動かせなくなり、窒息に至るのは女性の方が早くなるだろう。
肋骨が折れて、それが肺に突き刺さり・・・というケースもあるかもしれないが、今回の梨泰院事故では、被害者の方の検死は遺族の希望がなければ行わないようなので、そこは分からない。
3.靴の安定(女性・一部障がい者)
私も50代になるまではハイヒールは好きだったので、「履くな」とは言えないが、足元が不安定になるのは確実。
特に今回は場所が傾斜していたので、ハイヒールの向きによって、踏ん張りがきかなかったり、容易に転倒してしまうのは想像できる。
ハイヒールの向き、というのは、つまりは「ハイヒールで坂を下るのはそもそもツライ」という事だ。逆に、「ハイヒールで坂を上る」のは、ヒールの高さと坂の傾斜が相殺されるので、ちょっと楽になる。
また、同じハイヒールでも、ピンヒールか、太いヒールなのかで踏ん張れるかどうかの耐久時間も変わってくるだろう。経験的に。
また、ヒールの高さはさほどではなくても、一般的にパンプスは非常に脱げやすい。ストラップ付きだったり、シューズバンドを付けていたりすると多少は違うが、それでも「多少」の違いくらいだと思う。
履いたことがない人は分からないと思うが、パンプスはほぼ、「靴の形をしたものに、足を乗っけている」に毛が生えたくらいだ。
パンプスを30年履いていても、いまだにちょっと小走りになったりしたときに、パンプスが脱げたり、ポーンと前に飛ばしてしまう、くらいはある。(めちゃくちゃ恥ずかしい)
それくらい、簡単に脱げてしまうのだから、例えば群衆の中で片方だけ脱げて、しかもその人が9cm以上のヒールを履いていたりしたら、体のバランスはまず取れない。体の右半身と左半身で、9cm身長が違う状態と思ってもらっていいと思う。
ブーツだったらまだ脱げない点ではマシだが、安定性はあまり変わらない。
4.服装(今回はハロウィンという事で、特殊な例になるのかも)(女性・子供・高齢者・障がい者)
そもそも、男性と女性では着る服のTPOも違えば、今回犠牲になった方々の年齢層が10代~20代が多かった、という事も考えると、シャツにジーンズのみ、の男性と、肩だしウェアにタイトミニスカート、とかの女性では可動範囲が変わってくる。
勿論、シンプルな服装の方が引っかかったりも少ないし、足を開けるなら開いて、出来る限り踏ん張って安定を取る、等もしやすい。
また、今回はハロウィンだったので仮装していた人もいたであろうことを考えると、男性でも仮装のためにいろんな紐がついていたりした人もいたかもしれない。女性だと、リボンがあったり、ビスチェでウェストを締める系の服装をしていた人もいたかもしれない。
胸は圧迫され、腹はビスチェで圧迫され、となると、もう最悪だ。ビスチェはオーダーメイドでもなければ、ワイヤー部分が体のどこかに刺さっていたり(脱いだときに、必ずここにアザが出来るんだよなぁ、と思いつつ私も着ていたことがあった)、ウェストを締めすぎて呼吸が浅くなったりする。この「下着のワイヤー」も、ビスチェではなくても、ただのブラジャーでもワイヤー入りのものだとままある。
男性でも、ハロウィンコスプレという事で普段着ない形式の服装や、鎖のついたもの、革の帯、等、やはり体を拘束するような服装をしている人もいた可能性もある。
本当に、ハロウィンだったという事は悲しい要因だった。
5.肺活量(女性・子供・一部高齢者・一部障がい者)
そしてそもそも、こういった現場で「生と死」を隔てる武器となるのが、自分自身の肺活量だ。
残念ながら女性、子供、高齢者等、体の大きさ、胸郭、可能ならスペースを開けるための腕のチカラ、これらが男性と差が出てしまう。小柄な女性だと、余計に。
胸郭や筋力、そもそもの肺の大きさ、等など。この中で自分でどうにか出来るのは腕の筋力くらいだろう。
女性の死亡者が男性の倍になったのは、根本的にこの部分も大きく作用していると思う。
一般的に、女性と男性の肺活量の差は、平均値で女性が約2.3~2.6リットル。男性が約3.5~4ℓとされている。
約2.3リットルと、約4リットル。(女性の最小値と、男性の最大値)
男性が女性のほぼ倍。
逆転させると、今回の犠牲者の割合となるんだよね・・・かなり乱暴な数値いじりだけど。
6.豊胸(女性・一部高齢者・一部障がい者)
今のところ、女性死亡者の原因としてこれを挙げているメディアは見ていない気がするが、韓国といえば美容大国・整形大国。
海外からも美容整形をしに韓国に行く人がいるくらい。
そして、2018年の韓国ニュースサイトの統計では、人気の施術は1位が肥満関係(脂肪吸引等)、2位が豊胸、3位が二重瞼となっている。
豊胸の施術方法は多種あるが、手術したばかりだと圧迫で傷口が開く、中に充填しているものはいくらヒアルロン酸でも「人工物」なので、こうした「群衆雪崩」のような圧力が四方八方からかかることは想定されていない。
施術して時間が経っていると、それはまた、石灰化した部分があったりもするので、圧力がかかった時の痛み、破損、破裂等、予想もしなかったことが体内で起きる可能性もある。
豊胸以外の美容整形も、体にメスを入れているのは事実なので、体質によっては体内でケロイド化していたりもある。
検死を行わない以上、知るすべはないが、こういった犠牲者がいないことも願いたい。
と、私が類推した「何故女性の犠牲者が倍にまでなったのか」を挙げてみた。
これは別に、ジェンダーがどうのとか、男尊女卑とか女尊男卑とか、そういうものとは関係はない。
「生物として」の違いという事だ。
服装やハイヒールに関しては、「生物として」ではないが、男女でこれだけの差が出た一因になっているであろうという事で上げてみた。
「フェミだ!」とか、「だから配慮してほしいっていうのか?」というのは関係はない。
何故関係ないかというと、今回の悲劇は韓国で発生し、犠牲者の大多数はアジア人であった。だからこそ、男女差、が顕著に表れた。
しかし、これが例えばアメリカで発生したり、ドイツで発生したりしたらどうだろうか。アフリカでもいい。そもそもの骨格が大柄な人が多い国で発生したら?
アジア人としては身長も高めで、ジムにも通ってるから筋肉ありますよ、6パックですよ、という人達も、そもそも平均的に体の大きな人達が多い場所で、こういった群衆雪崩の中に放り込まれたら一たまりもないかもしれない。
私は小柄なので、欧米、どこでも大抵は「みんな背が高いなー」なのだが、ドイツやオランダ、北欧、アメリカは本当に大きい。
立って話していると首が痛くなる。
そういった国で起こった群衆雪崩に巻き込まれたら、アジア人は男女問わず、押し負けるだろう。
だから、今回書いているのは、ジェンダーとかなんとか、あれこれは関係ないのだ。(人種を非難するものでもない。犬のシェパードとチワワの大きさが違うのが不平等だ、というようなものだから。)
今回は、本当にツキがなかったというか、悪い事が重なってしまった痛ましい事故だ。
警察の怠慢、最初から誘導などの措置が取られていなかったという事、目と鼻の先に警察署があるのに初動が遅すぎたこと。
そしてその日がハロウィンであったこと、それもCOVID-19の自粛が解除されてから初めてのハロウィン。
それだけでも盛り上がるのは明らかなのに、そこに本当かデマか、有名人が来る、来てる、等の情報があったこと。
地形的要因と、ハロウィン用にテラスを簡易的に作っていたりしたこと。
そのどれもが悪い方向に働き、これだけの犠牲が出てしまった。
外国籍の人は26人に及ぶ。
色々な国でこうした群衆雪崩の事故は起こっているが、またこのことも教訓に、「次」がないように対策を考え、また自衛出来ることは自衛し、様々な「プランB」を各々が持っておく。
こうした地道な改善策を取っていかないと、また次に、どこかの国で何かのタイミングで発生してしまうタイプの事故だ。
・・・とりあえず、私も腹筋と腕立て伏せは再開しようかな・・・・。