氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

生理用品はエロ用品ではございません

杉並区の災害対策委員会で起きた「生理用品の話を男性にさせるのはセクハラか」論争。
これはいろんな「気まずさ」を、どういう人が感じるか、っていういかにも現代風な論争だなぁと感じている。

 

男性の担当課長に「タンポンや月経カップは用意していないのか」と、質問し、担当課長はしどろもどろになり「今後検討して・・・・」となった、というお話。
このしどろもどろいになった課長さんが何歳かは分からないが、きっとこの人は、「簡易トイレの個数」や「赤ちゃん用おむつ」、もしくは「大人用おむつ」の個数などはスラスラと答えただろう。
しかし、「生理用品はどんなものを用意しているのか」と聞かれたら、急にしどろもどろになった。


これは本当に想像だが、担当課長さんとしては突然、「避難所にコンドームは置いてますか」と聞かれた気分だったのかな。


報道されているところから見ると、

質問者 女性 (年齢 アラフォー)
回答者 男性 (年齢 不明)

セクハラだと感じて、ツイートした小林氏 女性 (年齢 アラサー)


この件に関して記事や雑記を上げている人は大体が言っていることだが、まず、生理用品は「恥ずかしいもの」ではなくて衛生用品なので、トイレットペーパーと同じカテゴリーだと私も思っている。
確かに、男性はトイレットペーパーは使うが、生理用品は使わないだろう。
だが、生理用品(ナプキンやタンポン)は、災害現場で怪我の手当に使用されることもある。
コンドームもそうだ。
ナプキンやタンポン、コンドームが何故災害医療現場でも使用されるか、というのは、「個別包装で衛生状態が保たれているので、簡単に手を洗ったり消毒したりできないところでも使用できる」という点が大きい。
出血している人に対し、ガーゼ等がない時にナプキンを使ったり、棒状のものが突き刺さったところにタンポンを入れ、内部の止血に使ったり。
また、コンドームはゴム製品なので、止血帯としても、またゴム手袋がない時に手にはめることも出来る。
水風船のように使う事も出来るので、水を確保する時にも、コンドームは使えるのだ。

 

「しかも、一般的に販売されている防災袋には入っていない」←ここ重要


災害現場、という「非日常」の時にどのように生き延びるか、そして救助が来るまでの間に、何か出来る事はないか、またその間つらすぎるだけではなく、少しでも「安定して」「焦らずに」救助を待つことが出来るか、という時にこういったものは非常に有効なのだ。


ここまでの事を知っている人は、実際被災者になった方とか、消防隊、救助隊等、現場で活動した方だけかもしれないが、最近ではそういう職を引退した人が「こういうライフハックがある」という事で動画を上げていたり、情報提供してくれたりもしている。

 

また、私はボランティアとしての活動しか出来なかったので一般人と同じレベルの知識だと思うが、それでも東日本大震災の時に、救援物資として届いた生理用品に対して、「こんなものより水と食べ物をよこせ!」と、自治体が生理用品を断ったとか、優先順位を下げて雨ざらしにしたので使えなくなったとか、そういう悲しい話を聞いたこともある。
断ったのは、私の見聞きした事例では男性、それも高齢に近い男性陣だった、というのも知っている。
そして大震災がある程度落ち着いて、国や、それぞれ地域で一種の「反省会」や「今後の対策」を協議した時に、女性団体が生理用品についてもし次回こんなことがあった時は、絶対断らないでほしい、必需品なんだ、という事を抗議した、というのも見聞きしたことがある。


ではなぜ、今回杉並区でこういったことが起きたのか?
私は、年齢と性別が関係していた気もする。
「これはセクハラだ」と発言した、小林氏の年齢から見てみると


阪神淡路大震災が1995年 → 小林氏(女性)は小学生くらい
東日本大震災が2011年 → 小林氏(女性)は成人後だが、20代前半


そして現在、彼女は区議会議員だが、年齢は30代前半。
これは、小林氏の属性(現在30代前半の女性)を考えると、人前で生理用品の名前がポンポン出たり、「今、生理きちゃってて」と言うのはまだハードルの高い年齢だと思う。

質問者の場合は、阪神淡路大震災の時に小学校高学年。
東日本大震災の時はアラサー。

回答者は年齢などが分からないのだが、担当課長という事なので、どちらかというと質問者の年齢に近いのかもしれない。
ただ、大きく違う属性が「男性」という事だ。

 


そうすると、脳内で現場を再現してみると、

(生理用品は生理用品、として頓着せずにハキハキと質問する質問者の女性)「避難所に生理用品はありますか?」
(担当課長 男性)「一般的な生理用品はあります」←生理用品、という単語は言える
(質問者女性)「タンポンや月経カップはないのですか?」
(担当課長 男性)「あ・・・その・・・・検討します・・・・・・・・確認します・・・・・・」
(見ていたアラサー女性議員)居心地悪い・・・・可哀想に・・・・・


だったのかな?
だとすると、私個人の感想としては、今は完全に一般化しているタンポン、また広まりつつある月経カップについて切り込んだ質問者は、過去の相談事などから、これは確認しておかないといけない、ナプキンだけだと何日しのげるか分からない、という使命感、義務感で質問したのだろう。
また、「ナプキン」「タンポン」「月経カップ」という言葉を公の場でいう事も、そこまでの抵抗感はなかったと思う。
衛生用品だし、別に隠れて売っているものでもなんでもない。ドラッグストアで堂々と陳列されているものだ。
第一、避難所にあるのがナプキンだけだと、その時何人が月経が来ているか分からないし、消費量も分からない。また、ナプキンは使い終わってからのゴミもかさばるので、避難所内で汚物エリアのように使用済みナプキンが積みあがることになる。
そういった事も考えての発言だったのだろう。


そして回答者は、「タンポン」「月経カップ」などの言葉自体に言いよどんでいるところから察するに、例えば姉妹がいたりして生理が身近なものとして存在していたり、既婚者だったとしても妻の生理用品を「帰りがけに買って帰る」のようなことはない、
ホモソーシャル」な世界で完了していた生活を送っていたのかもしれない。
(配偶者の生理が重かった場合、動けないから「帰りにこれ買ってきて・・・」のようなやり取りをする夫婦と、しない夫婦できっかり分かれるので、「生理ってものが女性にあるのは知っているけれど、巻き込まれずに自分の生活を完了することが出来る」状態だったのではないだろうか。


これは、別に男性に「生理用品買ってきて」と無理強いするわけでもないし、買って来れない方がおかしい、という意味でもない。
ただ、年の近い姉妹がいた男性は案外するっと「ナプキン買ってこようか?銘柄教えてくれたら買ってくるよ」が言えたり、頼まれたら「はいはーい」で買って来れたりする人がいる、というのを実体験で知っているからだ。

 

回答者が言いよどんだ、という事は上記のような「生理への慣れ」はなかったのだろう、と推察。


そして問題は「セクハラではないのか」と言っている小林氏になる。
小林氏は、「50人~60人がひしめきあっている委員会室の中で、1人起立させて男性課長に生理用品の事を答えさせる」ことが女性から男性へのセクハラではないか」、と言っているのだ。(一人起立して、が問題なのなら、座ってマイクで答弁する形にすればいいのに、とも思ったが)


男性課長がこれを「セクハラを受けた」と感じた、というのならまだ理解できるが、見ていた小林氏がセクハラだと感じた、というのは、結局「自分がいたたまれなかった」とか「男性の口から生理用品の名前が出るのが恥ずかしかった」とか、「議会、委員会で生理用品のことについて聞いているのが恥ずかしかった」・・・のが根本じゃないかな?
勿論、想像だけど。


小林氏はアラサー。
おそらくまだ、異性の前で堂々と生理です、とか生理用品のこれが必要です、ということを恥じらってしまう年齢ギリギリかもしれない。
だから、何だかもぞもぞする居心地の悪さを感じ、加えて担当課長の男性がしどろもどろになっている様子にも居心地が悪かったのだろう。
セクハラじゃないのか、という指摘は、どちらかというと「可哀想だよ」に近いのだが、「可哀想」だと仕事の場では通用しないので一番その場にマッチしているセクハラ、という言葉を無意識に選んだのではないだろうか。

 

しかし小林氏、考えてみてもらいたい。
災害が起こり、自分自身が被災者となり、着の身着のまま体育館なりなんなりで救助を待つことになった時に、自分が生理だったら?
そういう時は、勿論トイレもないかもしれない。仮設トイレはあっという間に汚くなる。
そしてナプキンだけだと、横になるのも怖いかもしれない。何しろ、経血で汚れても洗ったり、着替えたりすることが出来ないからだ。
救助、または物資が来るまでは。


そしてまた、小林氏は一人の「議員」として活動し、議員報酬をもらっているのだから、自分が個人的に恥ずかしい、が「市民・区民が望んでいる事を確認する」に勝ってしまってはいけないのではないだろうか。

 

生理用品の事を話すのは、トイレットペーパーについて話すのと同じだ。
これが、議会、委員会で「自慰について話す」のなら、さすがにセクハラという内容が出てくることがあるかもと思うが、生理はそうではない。いやらしくもないし、恥ずかしいものでもない。自然なものだ。


それでも、どうしても、どうしてもこういう状況はダメだろう、と思うのならば、

1.担当課長(男性)がさらっと「詳しく確認して、次回お答えさせて頂きます」で、その場は一旦保留にし、次の時には資料として配ればいい状態にする。
2.各製品に関しては、今詳しいものと代わります、で、部下の女性職員などから返答させる。
3.防災に限らず、それぞれ男性視点、女性視点が必要なので、担当課長は男女2名が同じ職責で業務をし、答弁をする

 

ではいけないのだろうか?
だって、防災用品の一つとして、絶対に絶対に、「ぜーーーーーーーったいに」必要な物なんだから。


という事で、私的結論としては

「生理はエロではなく、生理用品はトイレットペーパーと同じ扱いなので堂々と発言してください。
思春期でもあるまいし、いい大人が生理用品(しかも種類のみ)くらいで言い淀まないこと。

それが出来ないのなら、それが出来る役職者と交代するか、男女+LGBTQ全員が恥ずかしがらずにすむように、最低、必要な部署は男女両方の同じ職責、同じ地位の人を
置いて下さい。でないと非常時に困ります」


以上。


てかこれで右翼だ左翼だって言ってる人達、なんなの・・・・
右翼だったら生理が来ないんなら、右翼になるわ。ww