氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

差別と企業戦略

スープストックが離乳食、子供1人につき100グラム(1杯)を無料提供というサービスを全国展開させる、という事が炎上している。
肯定派は、現役子育て中の方々の「助かる!!」というものから、「こういうサービスはいい」「人に優しいサービス」のような感じ。「こういうのが子育て支援」とか。
否定派は、「無料だと客層が悪くなる」「折角静かな空間だったのに、うるさくなるのは嫌だからもう行かない」等。


正直、私は両方分かる。
子育てに苦労してきた友人を見てきて、また「あったかくなると、離乳食作っても食中毒とか怖いし、市販のものも、ゴミが多くなるし気に入らなくて食べないこともあるし・・・」とも聞いていたので(私は子育て経験はありません)、仕事をしてる親御さんからすると、「自分も食べるものがあって、子供が食べるものもある」お店は貴重だろう。
ファミレスなどはそういったものがあるが、パッと入ってパッと出る、「赤ちゃんのファーストフード」的なものはあまり聞いたことがないし、スープストックは駅ビルの中や駅構内でよく見かけるので、テイクアウトできるのも助かるだろう。


だが、今までスープストックを、「女性が一人で気軽に入れて、違和感なくゆっくり出来てリーズナブルだったのに」という方々からすると、赤ちゃんの泣き声、下の子が赤ちゃんで、上の子はもう走り回る年齢の子の組み合わせの子達が来るようになると、「折角ゆっくり出来るところだったのに・・・」となってしまうのも分かる。
女性一人だと、カフェ(スタバやタリーズなどから、昔ながらの喫茶店)は入れるが、吉野家すき屋だと、入れるけどゆっくりは出来ない、とかそういうこともある。
また、一人で入りやすいところは価格帯が高いところも多く、そうすると結構「軽く食べて、ゆっくり出来る」ところは少ない。
その場所がなくなるのでは、と残念な気持ちになるのも、理解できる。

 

ただ、立ち返って考えてみてほしいのだが、これは「スープストックの企業としての取り組み」なので、その是非を言ったところで関係ない、と思うのだが、違うだろうか。
このシステムを導入することで業績がどうなるか、企業イメージがどうなるかなど、スープストックが企業としてプランニングしているのだから、その結果次第でこのサービスをずっと続けるのか、または例えば時間帯制限を設ける(道路のスクールゾーンのように、何時から何時までのサービス)とか、無料ではなく、少額取ることにするか、とか、または完全にやめてしまうか。
その全ては企業が決定することだと思うので、その結果次第でいいと私は思っている。


民間企業が行うサービスなどは、それは企業戦略なのだからどうこう言うものではないだろう。
消費者側がそれを利用するか、利用しないか、今まで使っていたけどやめるか、新しく使い始めるかを決めればいい。
官公庁が行うサービスに、「意味のない」明らかな差別があるのであれば、そこは声を大いにあげるべきだと思う。
(例えば、盲導犬聴導犬介助犬等の補助犬が入れないお役所や公立の施設があれば、それはクレームをしていいと思っている。また、バスや電車なども同じく、補助犬を断る理由はない)
バリアフリーはなかなか金銭面もあるので「すぐに!」の対応は難しい面もあると思うが、新しく建設予定のお役所や公立の施設の図面段階で、明らかな「越えられないバリア」があるのが分かったら、その時点で対応してもらうために声を上げるのは有益だと思う。


民間企業相手にクレームを入れる時、考えなければいけないのが「選択肢が自分にあるかどうか」なのかな、とも思う。
これは民間企業で「働いている」人間が、内部での待遇の格差等に対して声を上げるのとは違って、消費行動を行う自分が選べるかどうか、なのではないだろうか。
正当にクレーム出来るのは、例えばトイレの問題であるとか、最近ショッピングモールに設置され始めてきた授乳スペースに、「別の用途で」入る人がいる、とか、お父さんが子供にミルクをあげる時にも入れるように、と、ジェンダーレスにしていたら覗き目的で入ってくる人がいた、とか、盗撮用カメラが設置されそうで怖い、とか。
または銭湯、スパ施設で女湯に小学校3~4年??くらいの男子が入っていて、ジロジロ見られて困った、とか、その男子が自分の娘と同級生だったのでトラブルになった、とか。
そういう場合は、相手が民間であっても「これは困る」とクレームをつけていいと思う。


つまりは、「犯罪」、「犯罪を容易にさせる懸念がある」などと、「使いにくくなった」「買いにくくなった」などは違うのではないかという事。これを考えていないと、「イタいクレーマー」になってしまうので要注意、かな、と。

 

私は喫煙者だが、今は殆どの店が禁煙、電子タバコなら席で吸えるけど、紙タバコはダメ、とか、紙タバコはブースで立って吸って下さい、となってしまった時は本当に憤慨した。それこそ、「もう行かないからな!!!」と言いたかったが、どこかで「まぁ、仕方ないか・・・喫煙可のところを探そう」と思っていたので、大人しくしている。

しかし、それまでかなりの頻度で喫煙席が満席だったカフェやレストランでは、厳しかったところもあるようだ。職場近くの似た展開をしていた2つのカフェレストラン(サラリーマンがランチに行くような感じ)は、テラス席を開放して喫煙可にした店舗だけが生き残っている。

これもまた、経済。(但し、こんな高額なタバコ税を取っているのだから、喫煙所は増やしてほしいとは思うけれど。せめて喫煙所廃止はやめて・・・)


そしてこれは蛇足だが、ジェンダーや男女差別に絡むと、この「選択肢は自分にある」という事が見えなくなってカーっとなってしまったり、変な正義感が出てきてしまうから気を付けよう、と最近私自身も考えるようになってきた。
そのきっかけとしては、とある人のSNSマッチングアプリが男性有料、女性無料は差別」というのを見た時に、「ん???」と思ってしまったからだ。


その、「ん??」と思った時は、自分の中で「そういっても、マッチングアプリで変な人に会って性犯罪が起こってもなぁ・・・」などと考えていたのだが、自分自身がそれにしっくり来ていなかった。
確かに、女性無料って聞くよなぁ、と。(すいません、のぞいたことはあっても使った事はないデス)
そんな時にこのスープストックの炎上を見て、「あ、そうか!」と思ったのだ。


何が「あ、そうか!」なのかというと、女性が有料のマッチングアプリというのも存在しているが、それは「出会い」というよりは「婚活」目的のアプリなので、デートする相手が欲しい、等の男性はそのアプリの存在を知らないからなのかも、という事なのだ。
女性が有料のマッチングアプリは、例えば「ブライダルネット」や「ゼクシィ縁結び」など、名称からして既に「婚活」というものと、「マッチドットコム」のようなものだ。(他にもあると思うが、探してみたことはないので詳しいわけではないです)


こういった有料のアプリでは女性も有料、男性も有料なので、いわば「結婚相談所」代わりに真剣に交際相手(将来のパートナー)を探している人が使用する
結婚相談所に入会すると、年額で下手をすると30万とかかかるので、その前段階として使っている人もいるのかもしれない。
双方有料で、それぞれのアプリごとにNG事項が決められているようだ。
メッセージのやり取りの回数とか、提出書類とか。
なので、遊び目的で使う人が自然と少なくなるので、所謂「ヤリ捨て」なども少なくなるのだろう。


そして、女性が無料のマッチングアプリは沢山あるが、運営しているのは「え、こんな大企業が?」と思うようなメジャーなところもあったり、「いや、本業と違いすぎるじゃん」というような会社もあったり、「怪しさしかないじゃん」という運営会社もある。
しかし、パッと調べてみても、民間企業が殆どだ。
民間企業が運営しているとなれば、「会員数をどう増やすか」、「どうやって利益をあげるか」、「どうやったらコストを抑えられるか」を考えるのは当たり前だと思う。


そして、マッチングアプリで女性無料のところが多いという事は、「女性を有料にしてしまうと、逆に採算が取れない」ということではないだろうか。
ただの市場原理だ。


差別だ!不当だ!!!
と言いたくなることは沢山ある。でもそれをはき違えて、「私が使いやすいようにしろ」などの地動説になってしまわないように、自分でも気をつけて行きたいと思う。