氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

想像力の欠如が恐ろしい

女性キャンパーが、ソロキャンプ中にしつこいナンパに遭い、最終的に警察に通報することになった、という事件が各方面に飛び火して炎上しているようだ。
日本単独野営協会の代表の方は堂々とした声明を出してくれているが、それが昆虫や動物を例えにしていたためか、そこからおかしな方向にも延焼している。

その状況、また、最近の撮り鉄騒ぎや北海道のクマにピザ食べられちゃった事件、他の不祥事などの報道を見ていて、ずっと何だかモヤっとしていたものを感じていたのだが、ここにきて自分の中で何がモヤモヤしていたのかがちょっと分かった気がする。


それは、「想像力の欠如」とでもいうものだ。
たとえ話が通じない、自分の行動が何を引き起こすか考えられない、「まさかぁ」と聞き流していたことが本当に起こって「頭の中が真っ白になってしまって・・・」となるようなパターン。(謝罪文や会見にも使われる常套句だけどね)


でも、この「想像力の欠如」が、不要な方向への延焼を引き起こしている気もする。
それが、意図的なのか本当に気づいていないのかは分からないが。


例えば、今回日本単独野営協会の代表の方が言った言葉で、
「男性は女性にとって、ゴキブリとハイエナを足して二で割ったようなものに見えていると思っておくくらいが丁度いい」
と、あえて強い言葉で注意喚起して下さった。
これだけの強い言葉を選んだというのは、これまでも女性キャンパーから、こういった声かけ「不審」事案の声が届いていたことがあって、そういった声が溜まっていっていた中、この事案が起こったので「いい加減にしろ」と憤ってくれた、という事のようだ。

我々女性にしてみれば、本当に有難い言葉だ。

協会としてみれば、「今までキャンプをしてなかった人たちにも楽しんでもらいたい」「あえて仲間と一緒とかではなく、一人でキャンプに来ることで、自然を感じながら日々のストレスから解放されてほしい」「キャンプって、楽しい!」と思ってほしい、
そんな気持ちがあったのだと思う。


新しくキャンパーが増えるというのは、勿論経済的にも業界が動くことになるし、もしかしたらキャンプ場の管理などで、多種多様な人がいることで「こういうものがあったら、便利なのか」とか、「こういう道具は知らなかった!いいじゃん!!」などの新発見があったりと、いい側面もあるからこそ、こうして情報発信などをしてくれているのだろう。

 

だからこそ、代表は女性キャンパーを受け入れて、「しっかり安全を確保して、楽しんでほしい」と思っていたのだと思う。しかし、結局は「女性ソロキャンパー狙いの男」がウロつく結果になったのだから、悲しい限りだ。


そしてその延焼の仕方が、「男性=ゴキブリとハイエナを足して二で割った」という言葉から、「男は人間扱いすらされてないのか」、とか、「差別だ」と言うような方向に向かっているのだから、もう、いやはや・・・とため息が出てしまう。
私は、この延焼は文言を切り取ったから発生したものでもあるだろうし、それこそ想像力がないから出てきたものだと思っている。


協会代表の人が言いたかったのは、「ソロキャンプ中に、どこの誰とも分からない男から声を掛けられるのは、怖い以外の何物でもない」ということだと思う。(男女問わず、怖いだろう。人間かどうかも分からないんだしさ)


また、いくつかの報道ではこの時にしつこく声をかけて「LINE教えてよ」とか言っていた男性が、お酒に酔った状態だったという情報もあるので、そうすると「何でこんなところで声かけてくるの=気持ち悪い」、「泥酔してるかも=気持ち悪いし、怖い」、
「また来た、また同じ人だ=怖い!!!!」と、女性が味わった恐怖を想像して、「気持ち悪いし、怖い」を、「ゴキブリとハイエナ」と表現したのではないだろうか。


男性でも、例えば女性から「想定してない場所で」ねっとりとした視線で見られ、誘われるようなことを突然言われたら、「気持ち悪い」と思うのではないだろうか。
そういった「想定してない場所」での性的な視線や発言、行動、または痴漢やストーカーのように「見られてる」と分かった瞬間からのその視線は、私自身も「気持ち悪い」と反射的に思ってしまう。

 

その「気持ち悪い」と感じる、ゾゾっと来る感情を、代表の人は「ゴキブリ」と表現したのだろう。
確かに気持ち悪いし、ゾゾっと来るよ!!


そしてまた、キャンプしている場所=街灯などの灯りがない場所、と考えると、暗闇をグルグルと回って、声をかけて来る、狙われている、という行動は確かに「ハイエナ」とは言いえて妙だと思う。
ハイエナは狡猾で、頭がよく、油断したところを狙って襲うとも言われているし、足も速く、狙われたら逃げられない。
まさに、「怖い」の一言だ。

 

協会の代表は、そういった「女性が味わったであろう恐怖」を表現する言葉として、「ゴキブリとハイエナを足して二で割った」と言ったのだろうと思う。
それが、「男だって人間だ!人間扱いしろ!!」のように議論が脇道にそれていくこと自体がおかしい。


「クマのように大きく」とか、「猫のように敏捷で」とか、人間でもその行動などを動物に例えることはよくある。
それは人権如何ではなく、「こんな感じ」というのをより多くの人に分かってもらうための比喩表現だ。
それが何故、「男には人権はないのか」議論になってしまうのか。
敢えて炎上目的で言っているのではないのなら、申し訳ないが相当語彙力のない方だと思わざるを得ない。


協会の代表の方は、反響への意見として、「女性にとってソロキャンプ中に男性に襲われることの恐怖は、男性がクマに遭遇したのに近い。そういう想像力を持って距離を置くのが大事ということ」と、追加の発言をしている。
ここまで丁寧に言わないと通じないって方が・・・・日本オワタ、な気分にもなるが、実際そうだ。
それでも、「おれ、クマに遭った事ないから分からん」とか言うのが出てきそうで怖いが・・・。

(一種あるある話ではあるが、夫婦間で夫ばかりが飲み会に行くことに妻側が苦言を呈すると、「だってお前は行かないじゃん。わかんないよ」と逃げる夫は多い。蛇足ですが)

 


こういう、「想像力のなさ」は、比喩表現が理解できなくて余計にトラブルを複雑にしてしまう結果にもなるし、カシオペアを緊急停止させた撮り鉄の3人や、「いいアングルで写真撮りたくて」と電車の緊急停止ボタンを複数個所押しまくった撮り鉄のように、「こんな大事になると思わなかった」というトラブルをも引き起こす。
「電車を止めちゃっていい写真撮ろう!」の後に、「いや待て、電車止めちゃったら、損害賠償とか来るのかな・・・てか、刑罰になるのかな」とか、「どれだけの人に迷惑かけるのかな」とか「その後、安全確認とかでどれくらい電車が動くまで時間かかっちゃうんだろう」ということ等に想像が及んでいない、という事だ。


かなり前から、殺人事件や少年犯罪の裁判記録などで出てきていた「考えてませんでした」「思いつきませんでした」という言葉
「人に火を点けたら死ぬだろう」を「思いつきませんでした」のように言われてしまうと、正直、その言葉が信じられないという思いと、それが思いつかないくらいなら、更生は無理じゃないのか、と思って色々考えていた事もあった。


が、最近はそれがもっと様々な、身近なところで起こる犯罪、迷惑行為等の理由なのか、言い訳なのかで使われるようになっている気がする。
半分頭がダークサイドに落ちている私としては、「想像できないなら、体験しますかね」と、キャンプ道具一式と一緒にヒグマのいる北海道の山の中に今回の「声かけ男性」を放置してみたい気になったり、痴漢の常習犯に「メキシコあたりで刑務所体験してきて」と1週間ほど放り込んでみたい気分になってしょうがない。想像できないなら、体験してもらうしかないのだから。しかし一応法治国家の日本ではそれは認められていないので・・・悔しい限りだ。(脳内ではSAWシリーズのテーマが流れ出したぞ)


想像してくれ!!!
何のためにその頭はついてるんだ!!!!

・・・と思った、ソロキャンプ炎上からの延焼に対する、私見でした。