氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

アイスランド、女性のボイコット運動

1975年、アイスランド・・・
当時、私はまだ幼稚園に上がるか上がらないか?の年齢だし、このことが日本で報道されていたのかどうかも分からなかったが、どうやら朝日新聞は報じていたらしい。オンタイムだったのか、後になってからかは分からない。
でも、今になってみると「ここが転換点」だったんだな、と思う一つの、「何もしない」という運動だ。
ストライキの名称は、「女性の休暇」


1975年10月24日、アイスランドで国中の女性の約9割がストライキを起こした。
国中の女性の約9割!すごい数だ。

「男女の給与格差や性別の役割分担に抗議して」、女性達は一斉に仕事や家事をやめて、街に出て広場などに集まった。

 

一斉に、と言ってもどうやら「突然」ではなく、ちゃんとスト突入警告は出していたようだ。
しかし、男性陣は冗談だと思っていたのに、本当だったことに驚いたという。
アイスランドのこのボイコットを調べると、写真も出て来る。
写真から分かるのは、高齢者から子供まで、本当に「女性」というカテゴリーだけで、年齢も何もなく、「女性」が集まったボイコットだった、という事だ。


それまで、男性優位で女性国会議員は2%。女性の就業率も高かったが、育児や家事労働は女性、という何だか今の日本に似ている状況だ。
では、ボイコットで何が起こったか。

 

・家庭    「料理も何も、コーヒーすらない」
・幼稚園 「職員不足で閉鎖」
・保育園 「職員不足で閉鎖」
・学校    「職員不足で閉鎖」
・新聞    「印刷係が女性だったため、印刷できず」
・職場    「父親が子供を連れて行き、混乱状態で仕事にならず」
・商店    「開店不能
・電話    「電話交換手がいないため通じず」
・ラジオ    「いくつかの放送局では担当がいないため放送停止」
・工場 「従業員不足で休業」
等など・・・

 


1975年当時でも、これだけの影響が出たわけだ。
そして今、アイスランドジェンダーギャップ指数No.1の座をキープし続けている。
女性は政界でも多く、女性大統領もいればシングルマザー大統領もいる。
「女性だけでなく、人間を商品として売る行為は違法」
ということで、人身売買や風俗に関する企業、団体は閉鎖になっている。


しかし、ここまで来てもいまだに男女の賃金格差は存在し、セクハラやDVもある。
性的暴力もある。


日本では、こういったボイコットは起こっていないし、無償労働の価値を考えて」と声を上げているが、男性論理では「価値を=給与」になってしまうのか、

「家事育児をしたことで誰がお前に給料を渡すんだ?俺の稼ぎで家族が食べていけるんだから、それでいいじゃないか」

と、論理がすり替わってしまう。

 

アイスランドでのボイコットのような、ドラスティックな変化がないとやはり分からないことなのかもしれない。
それならば、賃金格差は広がったままだろうし、セクハラ、DV、性暴力もなくならないだろう。
女性役員を30パーセント以上に、と言ったところで、「女に席を取られた」と感じた男、または「私はなれなかったのに」という女からの嫉妬+嫌がらせで続かない人も多かろう。
増えたところで、社外取締役とか、そういう抜け道を使ったものくらいじゃないだろうか。


どんなに政府が男女共同参画の目標を掲げようと、個々人が出来る限りの努力をしようと、私は、おそらく日本人が目に見えて変わることはないのではないかと思う。
先にも言ったが、既に「女性登用」と言っただけで、「女に下駄を履かせるのか」という声が上がる。
痴漢対策(というか、安全地帯を作るために)に女性専用車両があるだけで、「逆差別だ」と言われる。
映画館のレディースデーも、賃金格差から派生したサービスだが、それも「逆差別」
LGBTQ自体に、私は「みんな生きやすい社会になるといいな」と思うが、「本当の」LGBTQの人達が「いいんですか??」と迷っている間に、「LGBTQのふりをした」わいせつ犯が出てきて、全員が困惑する

 

これじゃ、袋小路だ。


前に書いたこともあると思うが、私は、日本の男女の性別役割分業や平等政策が上手くいかないのは、失われた30年があるからだと考えている。
男女共に、この30年苦しんできたわけだが(特に氷河期世代は)、「世界が男女平等に動いているので、日本も」と動き出すには、「オレ達がまた損をする」と考える男性の数が多すぎるのだ。
なので、急に「女性に機会を」と言うと、「じゃあ俺達は!?」となる総数が半端ない。
なので阻止するし、登用された女性がやらかすとネットリンチに合わせる。それはもう、完膚なきまでに。

 

勿論その間、女性も苦労してきたし、むしろ男性より苦戦してきたと思うが、「苦労した!俺たちは不幸だ!!!」という男の声は、届かない時に暴力となって出現するので、身の安全のために黙る方を選択する。

 

YouTubeで「男女平等」とか、検索してみると出て来る出て来る、「日本は女尊男卑」系コンテンツ。
「男女平等は女が男と同様に稼ぐ事」

「日本の女は甘えている」

「専業主婦なんてもってのほか」

「自立してから言ってみろ」

「女のくせに子供産まないって言った時点で生物としてクズ」

 

ここまで出て来る。すげー言われようだなぁ。


個人的には、私は男性は「勝手に自分でより不幸になっている」と思ってるんだけどね。
別に男が「これは出来ない」「手伝ってくれ」と言ってもほとんどの女は気にしないで手伝うか、それが例えば腕力が必要なことなら、誰か呼んでくる!と言うだろう。
男が弱みを見せたら「カッコわるー」と言って離れていく相手なら、それは自分との相性は悪かった、というだけだ。

それでも、カラに閉じこもって姿を見せないまま、「俺様を敬え!」「俺を大切にしろ!!!」「俺は繊細なんだ、丁重に扱え!!」と言われたって、姿が見えないんじゃあこちらもどうしたらいいか分からない
「あのタマゴ、なんか言ってるけど中見えないね」で終了になってしまう。

 

失われた30年の間に、これだけ世界は変わってこれだけ人間も、技術も変わっていった。
同じ「アジア人」の男女だけでこれだけ軋轢を持ってしまった日本人。
ここに、他の国々から様々な人種の方が入ってきたら、その時はどうなるのだろうか。


着地点が、ないなぁ。