氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

女の自衛はもう限界。男が自分を律してほしい

旧ついった、現Xを見ていると、ほぼ定期的に「性被害の暗数なんてそんなにない」とか、「男が全員痴漢なわけじゃない」とか、「被害者ったって、女が一人で夜中に歩いてるのがいけないんだろ」的なムーブが起こるんだなぁ、と思う。

 

確かに、「男が全員痴漢」ではないだろう。
「女性が一人で夜中に歩く」、それも「露出した服装で」。それは自衛意識が足りない、と「自分の子供などには」言い聞かせるだろう。


でも、某中学受験塾の件のように小児性愛者がウロウロしていたり、電車に乗れば痴漢に遭い、駅でエスカレーターを使えば盗撮され、会社帰りに飲んでちょっと遅くなったら駅からつけられて暴行される。
日本って、「治安がいい」を売りにしてなかったっけ??

 


海外で、日本と同じとまではいかないが、それなりに治安がよいと見られがちなのがイギリスだが、ここで一つの事件を見てみたい。


コロナ禍の2021年3月、イギリス、ロンドンでサラ・エヴァラードさんが遺体で発見された。
ロンドン南部クラパム、と地名を聞いても?となってしまうと思うが、バッキンガム宮殿から車で南に約15分ほどのところで、ロンドン市内。
いかにも「イギリス」という感じの住宅街。
大都会の住宅街で、「ただ帰宅しようとしていて」彼女は警官に殺されてしまったのだ。(強姦の後、絞殺)

 

この時、捜査中に警察側が「地元の女性は一人で夜道を歩かないように」と自衛をするよう、呼びかけたことから事は大きくなる。
日本でもよくある呼びかけだ。

 

「夜道に気を付けて」
「痴漢に気を付けましょう」
「一人歩きは危険です」


・・・日本人でも、誰しもがポスターなどで見たことがあるし、女性なら言われたことがあるだろう。
DJ SODAさんの時も、「露出した格好で~~~」と、「自衛が足りなかったね!気をつけようね!!(妙な明るさのノリ。大学生の変なサークルのようだ)」のような風潮になりかけたが、今のところ、グッと留まっている感じはある。(この後、手のひら返しの可能性も多々あるが)

 

日本でも、昔よりは女性は声を上げ始めているが、この時のロンドン市民の声は大きかった。
様々な被害者、不安な女性、そんな人たちが声を上げた。

 


“I was attacked in broad daylight on a bright sunny morning, yards from my front door. 
Stop focusing on women's choices and start focusing on the men that attack us.”

「私は晴れた朝、玄関から庭に出たところで襲われた。女性の判断に焦点を当てるのではなく、攻撃する男性に焦点を当てる時だ」

 


そしてこの後、イギリス議会では、「男性に夜6時以降の外出を禁ずればいいのではないか」と提案した人もいた。
本気ではない。何故こんな提案をしたのか。
これは、
「夜6時以降に外出なんてしていたから、レイプされるんだよ」
と言われ続けた女性側からのミラーリングなのだ。
(発言したのは女性)

 

女性は夜になったら遠回りしてでも明るい道を歩け。人通りの多い道を歩け。食費を削ってでもタクシーに乗れ。服装に気をつけろ。酒を飲みすぎるな。

 

そしてそうやっていても、「家に帰る途中、後ほんの少しのところで」サラさんは襲われ、レイプされ、殺害された。
じゃあ、どうすればいいのか、と女性の怒りが爆発したのだ。

 


この状況は、日本も全く同じだと思う。
女性視点から見ると、どこで痴漢や盗撮に遭うか分からず、どこでいきなり胸を掴まれたり、抱き着かれたりするか分からない。
「男女平等」の名の元、男と同じように働いていたら、明るいうちに帰宅できることも少ない。
しかも、都心では車通勤は難しいので、電車やバス等、公共交通機関での通学・通勤となると、駅から自宅までは歩くしかない。
もしくは、自転車か。

 

また、独身女性はそれでもまだ「何とかしてキャリアアップして、年収を増やす」努力が出来るので、どうしてもという時はタクシーを使う事も出来るが、お子さんがいたりすると、転勤なし、時短もしくはフレックス等で時間の融通がつくところ、と、育児をしやすい環境のところに、となると年収が下がることはまだまだ多い。
そもそもが、男女の賃金格差(女性は男性の約7割しかもらえない)があるのだから、それが更に削られるのなら、「自分一人の安全」のためにお金を使う事は難しい。

賃金格差に関しては、「失われた30年」のせいで男性の収入も思ったように上がらなかったので、頑強に抵抗して「そんなものはない!」と言っている人もいるが、内閣府の調査でも、国連の調査でも同じ結果が出ている。

 

そして育児をしながらも「女だからって楽な仕事してんじゃない」と言われないためには、「人通りの多い道」や、「遠回りしてでも明るい道」など選んでいる時間はない。


日本で、強姦「殺人」まで行くことはまだ少ないかもしれないが、強姦「致傷」なら山ほどある。
それでも歯を食いしばってきたのが、私の世代、現在アラフィフの就職氷河期世代の勤労女性、という事だろう。
その、就職氷河期世代の子世代が、今の10代後半~20代後半くらいだろうか。
人生の中で一番、性被害に遭う可能性が高い年代ともいえる。

 


DJ SODAさんへのバッシング、また日本版DBSの迷走っぷりを見ていると、どこまでこの国は落ちぶれるんだ、と感じる。
自分が間違った事をしたら、腹を切って詫びを入れる文化はどこに行ってしまったのだ。(女性の場合は切腹は稀で、頸動脈を切る事での自害)


日本が諸外国から置き去りになった点は多々あるが、「人権」という認識も置き去りになってしまったようだ。
みっともない国になってしまったなぁ、という寂しさと、「なら、私には何が出来るか」という本当に小さな抵抗。


一つ、とにかくこれだけは、と思うのは、子供を守りたい、という事だ。
私には実子はいない。それでも、守りたいと思う。それが友人の子でも、他人の子でも。
日本版DBSが「職業選択の自由」を使ってもろく崩れ落ちそうになっているが、もうひと踏ん張り、頑張ってみるか。

・・・情けない事に、加害者である「男たち」に自助努力を求めても無駄だ、という事も見えてきたからね・・・