氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

そのコメントは、誰のコメント

ネットニュースでも、半ニュース番組でもそうなんだけど、最近「〇〇についての自論」を取り上げられてるのって、タレントとか、芸人さんとか、YouTuberという名の素人とかが本当に増えたなぁ、と思う。
それの是非を言いたいのではないのだけど、時代なのかな、とは思う。
ネットニュースを開くとひろゆきが~、青汁王子が~、とか、ROLANDが~、とか。
また、Abemaもそうだが、半ニュース番組、半ワイドショーになるとタレントばっかりが出て来ている感じがしてしまう。


私はテレビっ子ではなかったので、いつ頃からそうなっていたのか分からない。
半ワイドショーなどはまだ「ま、視聴率稼がないとだしね」と思えるのだが、ネットニュース、またはネット記事に、専門でもなんでもないタレントがこう思う、こうではないか、こうあるべき、これ変だよね、等のコメントが並んでいるのは違和感を感じてしまう。
確かにある意味、「詳しくない人から見ると、それはこう見えるよ」という事なのかもしれないし、すごく腑に落ちることを言っている人もいるので「この人はどういう人なんだろう」と認知するきっかけになったりもするのだが・・・


それでもなーーーんとなく、「違和感」が払拭できないことも多々ある。


そのコメントが、養老孟司さんだったりすると、耳に痛い事であっても「そうかぁ」と思えるが、タレントさんだと「ん??」となってしまうのは、まぁ、私が肩書に弱い、とか、言論人の好き嫌いがある、等もあるのかもしれない。
養老孟司さんの講義とか、好きだけどね。なんか淡々とした中にウィットのきいた皮肉があったり、これは本当に司法解剖した人しか分からない感覚だろうなぁという発言があったり、それでいて「あー分かる」とか「なるほどなぁ。その視点からは見てなかったわ」と思う部分があったり。でも、養老さんをしっかり知ったきっかけはネコのまるちゃんだったかな)

 

同じ「学者さん」のコメンテーターでも、「ん???」となる人は勿論いる。
専門家だろうが、学者だろうが、自分と違う考えを持っている人は勿論いるので、「ん???」となることがあるのは当たり前だろう。
しかしその分野を研究してきた人が言っているのだから、頭の中には置いておこう、と思ったりするのだけど。


いつ頃から、この「物申す人」が変わっていったんだろうなぁ。
物申す人、が交代していないことも一因にあるのかもしれない。
「さすがにそれは、現代にはマッチしてないよ」と思ってしまう事もあるからだ。


別にタレントさん、芸人さん、YouTuberさん達がコメントしていてもいいのだが、「いや、それはあなたが知らないだけでしょ」と思う浅いコメントだったりすると、やっぱりなんか見ていても面白くなくなってしまう。


それでも、専門家、学者、と言われる人達が出て来ると、それはそれでバッシングが起きる。
かつて湾岸戦争の時には「軍事評論家」の肩書で江畑謙介さんが色んな番組で引っ張りだこだった。
「軍事評論家」という肩書が何とも新鮮で、また、「オンタイム」で戦争が映し出されるという事で余計にインパクトのある戦争だった。
湾岸戦争が1990年からなので、まだネットの世界は現実に進出しておらず、そのためにバッシングなどはほぼなかったのかもしれない。


しかし、今回のCOVID-19の時、最初は大いに持ち上げていた尾身茂さんを、ある時から一斉にバッシングするような行動が起きた。
COVID-19は、1918年から大流行したスペイン風邪以来の感染症パンデミックという事もあり、全世界に流行するパンデミック、という未曾有の事態に尾身さんは奮闘した。
だが、おそらく「未知の病気への不安」から、「イライラをぶつける相手」探しへと変貌したマイナスエネルギーは、尾身さんを直撃した


尾身さんが、政府部会などにいくら言っても国民にまで伝わらない、また、国民が抱えている不安も解消できない、と開設したInstagramはあっという間に炎上した。

 

私は、他国にいる友人とも連絡を取っていたし、CDCやコッホ研究所の発表を追いかけていたので、尾身さんがそこまで頓珍漢な事を言っていたとは思わないし、各国がすごい勢いでロックダウンに入る中、法律を盾に感染予防よりも経済活動を続けることに
舵を切っていた日本政府の方針に対し、国民が「自衛」として出来ること、気を付ける点、等を様々なメディアなどで言い続けた尾身さんはすごいと思っている。

 


この、尾身さんに対して起こった炎上、バッシングは、「専門家」が出て来ても「何も変わらないじゃないか!すぐに解決してくれよ!!」というフラストレーションが起こした炎上だと思っているが、専門家が出て来る事によって、こういうバッシングが起こる、という事も如実に表していると思う。


タレントの人達にもバッシングは起こるが、何となく前提に「タレントだけど、別に専門家じゃないし」と甘く見ていて、それでも「さすがにあれは言い過ぎ」とか「もうちょっと勉強しろ」という時にバッシングが起きる。
専門家には、「専門家のくせになんだ!!」という感じで、本気のバッシングが起きる。


これじゃあ、本当に知りたい情報は公共のものからは入ってこないんだな、と感じてしまう。
それなりの専門書、または専門雑誌の記事を探して読みに行かない限りは、「現時点で分かっている事は何なのか」も分からない、ということだ。
それをしなかったら、「情弱」扱いされて、またそれはそれで、SNS上でバッシングになったり、レスバ炎上となったりする。
例え、投稿者が「そうだったんだ!教えてくれてありがとう!!」という状態であっても、「バカは勝手に死んでろ、ムカつくから投降してんじゃねーよ、カス」みたいなコメントがついていたりする。


例えば、かつての2ちゃんねる、今の5ちゃんねるのようなところでこういった粗雑なレスがついているのはある意味「仕方がない」ところだが、使用者が多い(年代から性別から就業状態から、色んな人が使っている)SNSですら、こういう状態になっている、というのは「誰かがすごくフラストレーションを溜めている」=「加害意識」を叩きつけられているようで、気分のいいものではない。
「こういうところで検索すると、色々分かりますよ」と、情報を与えるでもなく、唾を吐くだけのような行為だ。
一般人である私のアカウントでもそういうことが起こるという事は、知名度が高い人はもっとだろう。


自分の正体がバレなければ、何を言ってもいい。
身バレしたらその時はその時。
そもそも先のことなんて考えてない。

 

相手が一般人でも、知識人でも、専門家でも叩く。気が済むまで叩く。
相手がタレントなら、まぁ事務所が何とかすんだろー、だから何したっていいさで叩く。

・・・その動きが、だいぶリアルにも浸食してきていると感じられる今。こういうのを、ディストピアって言うのかな・・・。