氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

手術要件撤廃・・・しかし問題は「ただの性犯罪者」です!

昨日の最高裁判決で、多くの女性が「あーーー日本終わった」と感じているであろう中、「ひゃっほー女湯入れんじゃん!」と言っている男性垢が多数見受けられるという、非常にカオスな状況に陥っている。
私も、気分的にはどよーーーーーーーんだし、このカオスにはもう打つ手はもぐら叩きしかないんだろうな、とも思う。


今回の手術要件抜きの性自認に従った性別変更は、国連が進めてきた人権問題に「ちょっとは動いたよー」と示したいだけなんだろうが、まぁ、裁判官は殆ど男だから、被害は受けないからね、隣の芝生は青く見えるかもしれないが、そのもう一個先の芝生がどうなってようと知ったこっちゃない、という事だろう。

 

なので、前々から気になっている、「日本が国際人権条約を批准しておきながら、なんのアクションも取っていないもの」、との兼ね合いを見てみようと思った。


まず、国連では1948年から今まで様々な国際人権条約が出されてきて、採択されているが、日本はその人権条約に関してアクションを行っていき、束ねていく「国内人権機関」そのものが設置されていない
「やりますよー」と言って、「動く」ところがないのだから、放置なわけだ。
そのため、国際人権条約で非常に重要、とされている個人通報制度(国内で裁判などをしても権利が回復されない、救済手続きが取られない場合に個人で人権条約機関に申立てが出来る)も、設置されていない。

 

それさえあれば、今回の件も、大多数の女性が「いやいや、問題は性犯罪者なんですよ。女性はトランスヘイターなのではなく、性犯罪を取り締まってくれない状態では不安だと言っているんです」という場所すらない


では、本題。
2023年に日本はUPR審査(人権状況の定期的審査)を受けたのだが、
1.155ヶ国から300個の勧告を受けた
2.そのうち、性と生殖に関する健康と権利に関しては、24ヶ国から36個の勧告を受けた


審査の結果(日本国の回答)
1.300の勧告の内、180をフォローアップする、26を部分的に受け入れ、フォローアップする、58を留意する、36を受け入れない、とした。
2.性と生殖に関する健康と権利に関しては、1つのみ、受け入れるとした。


ちなみに、そのたった一つの「受け入れる」が、「避妊薬(具)へのアクセス向上」だ。

 

他、大事なもので日本国が受け入れない、としたものが下記になる。
1.安全で迅速、安価な中絶医療へのアクセス(一応留意、にはなっている)
2.母体保護法改正
3.堕胎罪撤廃
4.配偶者の同意要件廃止(部分的に受け入れ)
5.性的指向性自認に基づく差別禁止法制定
6.同性婚
7.性同一性障害特例法の改正
8.刑法性犯罪改正
9.イスタンブール条約の締結イスタンブール条約:「女性に対する暴力と家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約」
10.国際基準に見合った包括的な性教育へのアクセス

これらは部分的に受け入れ、のものもあるが、基本的には「受け入れない」だ。

 


この他、国連人権理事会が日本に強く働きかけているものは、国内で既に問題になっているものが多い。

 


1.死刑制度の廃止 (これは結構例外で、国民側も死刑制度は残してほしいのではないだろうか)2.パリ原則に沿った国内人権機関の設立 (人権機関を作ったら、政府が攻撃されるので設立しないだろう)
3.個人通報制度等の選択議定書の批准 (→上記、9のイスタンブール条約の締結。そりゃあ男性上位でいたいから、批准しないだろう)
4.包括的差別禁止法の制定 (人種、性別、障害、全ての差別を全ての場所で禁止するための法律。全ての場所、は、職場、地域、学校、家庭、どこでもという意味になる。男性上位主義には非常に邪魔な法律)
5.ジェンダー平等 (ぶっちゃけ、男性上位主義として一番やりたくないことじゃないかと思う。)
6.障害者、性的少数者少数民族などマイノリティの権利 (マジョリティをキープしたい男性には非常に邪魔)
7.女性や子どもに対する性的搾取防止 (性的搾取したいから邪魔)
8.外国人労働者技能実習生に対する十分な保護と支援 (可能な限り人を安く使いたいから邪魔)
9.受刑者の処遇 (これは改善しつつあるのかもしれない)
10.新型コロナウイルス貧困層など社会的に脆弱な人々に与える影響に対処するための効果的措置 (コロナ禍を脱したことに
なっているから、おそらくもう検討すらしていない)
11.原発汚染水の排出計画の中止や科学的情報の提示 (一応科学的データは示している)
12.福島避難民の問題 (こちらは継続中と思われるが、支援事業は減っていっている状態だろう)
13.難民・移民保護政策の強化 (かなり火が付き始めている問題)
14.入管施設における被収容者の人権問題 (同じく、かなり火が付き始めている問題)

 

ざっくりしただけでも、これだけ日本は国連から「お前らどーにかせーよ」と言われている状態だ。
上に茶々を入れるようにコメントを入れてみたが、圧倒的多数を占める「成人男性」の政治家からすると都合が悪いから進めてない、と思えてしまうような理由が簡単に想像してしまえるからもう失笑レベルになってしまう。

 


そんな中で、トランスジェンダーの問題は「あ、男は困らんわ。関係ないわこれ」と進めたんじゃないのか、と思える今回のこの動き。
しかし、手術要件なしでの性別の変更を認めることで、副次的に派生してくるであろう問題に気づいてないのではないか、と思えるところも多々ある。


例えば、本人の性別を変えた時、両親の戸籍も変わる?(長男とか次男とか、長女とか書いてるよね)
戸籍謄本が一致しなくなるけど、相続の時、「この長男が、現在女性のアナタと同一人物か証明するものを持って来て下さい」となった時どうなる?相続は、関係者全員分の書類が揃わないと終わらないんだけど、その分はどうするのかな。
パスポートの有効期間中に性別を変えたらどうなる?
等などなど。

 


そして最後に、今のキナ臭さにも触れておくと、日本が国際連盟を脱退したのが1920年。(正式に可決されたのが1933年)満州事変をきっかけに脱退。
そして同じく1933年、ナチス党が率いていたドイツが国際連盟脱退。
そこから、日独伊の軍事同盟へ。
その後は・・・・・太平洋戦争だ。
この、1920年から、太平洋戦争開戦までの間、小林多喜二の拷問死等、様々な事件が起こっている。
何か、もう、似てるよね・・・