氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

家族の老いが、怖い

鈴鹿市で、「散歩の邪魔になっていたので腹が立って燃やした」と、乗用車に火を点けて全焼させた男性が逮捕されている。
80才。

こういうの、・・・すごく怖い。

報道では、車はサイクリングコースに放置されていた、とあるが、それが一時的に駐車していたのか、それとも本当に「遺棄」されていた放置状態だったのかは分からない。
何しろ、報道で出ているのは完全に真っ黒こげになっている車両写真だけだ。
遺棄されていた車なら、「邪魔だなぁ」と思っていただろう、というのは理解は出来るのだが、・・・こんなに簡単に燃えるか?という疑問を持ってしまう。
中のガソリンに引火して、となると、それは長年遺棄されていたものではなくて、誰かが駐車場代をケチってしばらく置いていたのか、他の理由があるのか・・・もしくは、ガソリンなりなんなりも準備して、「今日もあったら燃やしてやろう」と思っていたのか・・・。

 


今回のこの報道で、私はふと、この「80才」という年齢が強く残った。というのも、私の父と同じくらいの年齢になるからだ。確かに父も若い頃よりは怒りっぽくなった(というか頑固度が増した)ところがある。
一度「こうでなくちゃダメだ!」と思い込んだら絶対に曲げないので、娘の私などが後で謝罪の電話をしたりすることもある。
「俺の頃はこうだったから、今でもこうしないと駄目だ」のような思い込みは非常に強い。
例えば、今なら「見積書添付します」のようなメールのやり取りは普通にやっているが、父からすると「客に見積書を提出するなら電話の一本でも先にかけてこい」のように思い込む。
今はもう違うの!!と言っても聞かない。
一旦そのムーヴに入るとテコでも動かないので、父関係のことであっても私が間に入ってメールで相手先とはやり取りをして、父に別途連絡をしたりすることになる。(無駄な作業なので、私はプンプンではあるが・・・相手様に迷惑をかけるよりはマシ)


幸いな事に父は暴力に出るタイプではないが、それでも若い頃よりは語気が荒くなったり、イライラしているのが隠せなくなったりはしている。
これが、父も手が出てしまったりするタイプだったら・・・と考えると、この「車を燃やしてしまったおじいさん」が自分とかけ離れた存在だとは、ちょっと思えないのだ。


ぶつかりおじさんのように、全くの他人が突然自分に対して敵意をむき出してくる、という恐怖もあるが、突然「もう我慢ならん!」と何かやらかしてしまうのが身内だったら・・・・?と思うと、違う恐怖が湧いてくる。
今回は車だったが、もし人に・・・とか考えてしまうと、正直感情をどう持って行くのが正解なのか、分からない。


人は誰でも年を取るし、その時に体にガタが来たとか、いつもどこかしら痛いとか、思うように動けなくなった、等でイライラしてくる事は増えるだろう。
穏やかな人が、年を経るごとにもっと穏やかになっていた人も知っているが、どちらかというと穏やかだったのにどうしちゃったんだろう、というケースも勿論ある。


今のところ、母に先立たれた父は初めての一人暮らし(と言っても娘はすぐ近くにいるわけだが)を何とかかんとかこなし、掃除なども頑張っているところを見ると、「母と暮らした状態」を維持したいんだろうな、というのは感じ取れる。
また、食事なども父だけでも出来るものを増やせるように、CookDoのキットを教えたり、調味料の使い方を教えたり(お味噌汁は水と味噌だけで出来てると思っていたのに気づいた時はひっくり返った)、「焼くだけ」に加工した肉や魚を教えたりしている。

 


人が亡くなった時、遺族は悲しんでばかりはいられない。
相続や登記の変更、様々な契約の終了等の事務手続きをしなければいけないのだが、父は今まで、そのあたりはずっと母と私達姉妹にまかせっきりにしていたので、司法書士さんや税理士さんに連絡を取ったり、というのは初めてだった。
そもそも、完全喪主側にいて、前に出なければいけなくなったのも父にとっては今回が初めて。(今までは母方の葬儀だったので、父は「母と一緒にいる」役割という感じだったので)
なので病院での手続き、葬祭場、お寺さん、墓地への連絡も初めて。
やっとのことでそれらが終わったら、今度は相続だ登記だと始まるので、途中で何度か、父も爆発した。

 

葬儀場の人に「喪主は、私と娘二人の3人には出来ないのか」というトンデモ発言をしてしまったり、手伝ってくれている先生方に怒鳴りつけてしまったり(後から娘が謝罪)、話し合いの途中で何度もループしてしまったり(全てざっと書いて説明した。私が経理でよかった)。


やり慣れないことを、母を失った状態で「やらなければいけない」となった事自体が初めてだったので、そのストレスも勿論あっただろうが、母が亡くなってからかなり経った今でも、変なところで怒りのスイッチは入るらしい。
その度に何とかかんとか静めようとするか、諦めて一人で怒らせておくかを私達は選ぶわけだが、それが出来るのも、父の怒りのパターンが「外にはほぼ出ない」と分かっているからだろう。
これが、外で全く見知らぬ他人に怒鳴りつけるようになってしまったら、さすがに私達も何か方策を考えないといけない。


街中で、突然怒鳴りだす人。電車で難癖をつける人。隣近所に苦情ばかり言う人。
それが「他人」であればとにかく自衛を心掛けるのみだが、それが「家族」になった時どうしようか。

 

・・・そんなことを、この報道を見て感じてしまった。
父よ、お願いだからボケちゃったり、周りにギャースカ文句ばかり言うおじーさんにはならないでくれ・・・!!!