氷河期初期世代おばはんの日々うらうら

就職氷河期初期世代のおばさんが時事問題に思ったりすることや、日々のあれこれ

リースリングを飲んで楽しく過ごせる日はいつになるのか

昨日、珍しく家で何かアルコール系のものが飲みたくなって、ワインを飲んだ。
ワイン自体は煮込み料理を作る時のために結構使っているのだが、基本は宅飲みをしないのでワインをワインとして家で飲んだのは久しぶりだ。

 

そもそも食通でもないし、お酒に関しても味にどーこー言う方ではなく、何でも「美味し~」と食べて飲んでしまうタイプだが、白ワインならリースリング、というのはある。
なので白ワインで常備するのも、出来たらリースリング・・・と行きたいがそこまでワイン煮込みを作ることもないので普段はコンビニのミニボトルワインで問題ない。

昨日もそんな感じでワイン一杯だけ、チーズを肴に飲んでいた。

 


リースリングには結構思い出がある
そもそもリースリング、という名前を覚えたのも、フランス人の同僚とディナーを食べに行った時に「これは飲みやすいよ」と教えてもらったのが最初だった気がする。
私が勤めていた会社の工場の一つがアルザス地方にあって、ちょっと特殊なものを作っていた工場だったので営業はその知識を持った専門の人が来日して、日本人営業と一緒に行くスタイルだった。
なのでその同僚(営業)の人はわりと頻繁に日本に来ていたのだが、さほど年齢も離れていなかったので接待などが入っていなかった日のディナーは一緒に行っていた。
そんな時に、彼がワインメニューを見ていて、教えてくれたのがリースリングだった。


スッキリしてるけど、ちょっと甘みもあってすごく美味しい。
確かにこれは飲みやすいし、なんか悪酔いしない感じもあるな~と、「ワインを銘柄指定する時にはこれにしよう」リストに入った感じだ。


日本でもリースリングを置いているレストランは結構あるし、勿論フランスでも、ドイツでも多い。
なのでハウスワインないか~、どうしようかな、となった時に探しやすいので便利だ。後、リースリングはないの?と聞いてなかった時に、代わりの似た系統のワインを勧めてくれるところもあるので、すごく重厚な味が好きなのか、さっぱりと、でも芳醇な味が好きなのかの指標にもなってくれるので助かる。

 


そんな感じで結構飲んでいたワインだが、やはり一番「美味しい!!!」と感じたのは、まさにアルザス地方の友人を訪ねて行った時、太陽の下でワイワイとおしゃべりしながら飲んだ時だ。
フランス語、しかも流麗な書体で書かれたメニュー(ほんとに手書きだった)はさっぱり分からなかったので、友人に教えてもらいつつオーダーして、ランチ用のフルコースを頂いたのだが、一つ一つが本当に絶品。
しかもドドンと重たい感じではなかったし、2時間以上かけてゆーーっくり飲んで食べて、なのでフルコース食べました!苦しいです!!にもならずに済んで、本当に満足だった。

 

友人は妹ご夫婦も連れてきてくれていたので(そのご夫婦の娘さんは何度か日本に来ていて、私が行きにくいところに車で連れて行ったりもした)、もう本当にみんなでワイワイ。ウチの娘にいい思い出を作ってくれてありがとう!!みたいな。


こういう時スマホは便利で、娘さん達が来日した時の写真を見せたり、WhatAppの連絡先を交換して写真を送ったり。

すごくゆっくりした時間、太陽の下で飲んだリースリングは忘れられないなぁ、と思う。

 

今、世界が段々とおかしな方向に向かいつつあるのを見ていると、ふと、あのランチのようなゆったりとした、それこそレストランに音楽もなく、人々が楽しそうにクスクスと笑う声だけが聞こえ、食器がたまにカチャっという音を聞き、どこかで乾杯したのか、グラスがリーンと鳴く音くらいが聞こえる情景が目の裏に浮かぶ。
私がいるテーブルには、仏・韓・日の不思議な取り合わせ。
美味しそうに焼かれたサーモンの付け合わせの野菜を見て、私が「これなーに?」と聞くと、面白そうに教えてくれる友達。
一緒に旅行している韓国人の友達はフランス語を習っていたので、分かると英語で調べてスマホで私にこれこれ、と見せてくれる。
(野菜のサイズが違うから、同じものでも見分けがつかなかったりする)
私がフランス語の鼻濁音が発音できないの、というと、Bonjourって言ってみて?とかで盛り上がる。


あのゆったりとした時間をまた味わえるように、今、この歯車が狂い始めている勢いを止めたい。
第一次大戦前、第二次大戦前など、皆こういう空気を感じていたのだろうか。


太平洋戦争で樺太から引き揚げてきた母は、日本が次の戦争に巻き込まれる前に他界できた。
願わくば、年老いた父にもそれは見てもらいたくない。父ならば、おそらく「自分が避難するより、誰か子供か若い人を連れて行ってやれ」というのが分かっているからだ。
そして今、私はこの世界を見つめている。


次に彼の地でリースリングを飲みながら、友と団らんする日が訪れるのを願って。